第64回全日本鍼灸学会ふくしま大会(3)

この大会の目玉として、不妊症での鍼灸のシンポジウムを企画しました。

学会での掟、というものがあり、講演、シンポジウム、パネルディスカッションなどの企画は、エビデンス(効果の根拠)がはっきり明確になっているものについて行える、というものがあります。

鍼灸院による不妊症治療はすでに一般化しているものの、国内的にはその効果の根拠が乏しく、学会の企画にはそぐわないのでボツになりそうでした。

ただし国外にはエビデンスと言える論文がそこそこあり、またいまや一般化している鍼灸による不妊症治療の国内の現状を見ると、テーマとして取り上げざるを得ないであろう、、という事になりまして、シンポジウムを開催することになりました。

発案者としては、非常に安堵しました。

講師控室で出陣式! 左から中村先生、矢野先生、森本先生、鈴木先生、木津先生、田口先生、三瓶 7名中5名が不妊鍼灸ネットワーク関係者でした

シンポジストとして、

1)まず国内の最先端生殖医療を行うトップのドクターとして、日本IVF学会理事長である森本義晴先生(IVFなんばクリニック、IVF大阪クリニック、HORACグランフロント大阪クリニックの3つで世界一の規模を誇るIVFジャパングループの理事長でもある)。

2)国内外の不妊症における鍼灸の論文の分析で、明治国際医療大学鍼灸学部講師の、田口玲奈先生。

3)鍼灸の不妊症の研究論文数で国内随一を誇る名古屋・明生鍼灸院副院長の木津正義先生。

4)開業鍼灸師による不妊症鍼灸治療を研究する不妊鍼灸ネットワーク会長の中村一徳先生(なかむら第二針療所院長)。

座長は、W座長で、、

1)明治国際医療大学特任教授であり、全日本鍼灸学会前会長である矢野忠先生。矢野先生は形井秀一筑波技術大学教授とともに、『レディース鍼灸』という分野を作った先生です。

2)名古屋・明生鍼灸院院長の鈴木裕明先生。言わずと知れた、日本での鍼灸による不妊治療の草分けです。

以上、シンポジスト4名と座長2名の調整は、コーディネーターとして企画が通ってから約1年間私がやらせていただきました。

まさに生みの苦しみを味わった1年間でしたが、国内の鍼灸の最高の学会で不妊症がテーマに挙げられたことは、本当に画期的であったと思います。

シンポジウム会場にて。登壇前の1コマ

シンポジウムは、4人の先生が代わる代わる壇上で発表し、最後に全員が揃って登壇しディスカッションを行う、というものです。

座長の矢野先生(左)、鈴木先生(右)

シンポジウムの舵取り役の座長は、今回は2名の2枚看板でした。 この座長の先生どちらかお一人が講師をされても、満員の人が詰めかけますから、本当に贅沢な企画であったと思います。

しかも、ここは田舎の福島県郡山市ですから。

HORACグランフロント大阪クリニック、IVFなんばクリニック、IVF大阪クリニックの総帥にして、日本IVF学会理事長である森本先生がトップ講演

シンポジウムのトップ講演は、森本先生でした。 生殖医療最先端のトップにいらっしゃるドクターが、『私は鍼灸には特に期待している』と壇上で話すところはすごかった。

森本先生のクリニックでも、実は鍼灸を取り入れていて、とても効果を実感されるそうです。

卵巣、子宮、ホルモン、と、パーツごとに診ているのではなく、人間という体の複雑なシステムを改善できる鍼灸について言及されていました。

明治国際医療大学講師の田口先生

2番目は、明治国際医療大学講師の田口玲奈先生から。

海外と国内の論文を検討された内容からお話しいただきました。 世界に広く出回り、特に体外授精時に鍼灸を行ったら妊娠率が向上した、という論文については、効果があるともないとも言いにくい、としながら、国内で一般的に行われている体質改善などで長期にわたって行う治療などと異なる、と話し、国内から海外へ日本式治療の論文の輸出が必要である、ということでした。

興味あることに、体外授精などを行うクリニックでは、すでに25%くらいの施設では鍼灸などを取り入れているそうで、将来的に取り入れたい施設を合わせると40%くらいになるそうです。

まさに鍼灸が期待されているのだなぁ、と感じました。

明生鍼灸院副院長の木津先生は3番目

講演3番目は、わが不妊鍼灸ネットワーク学術部長でもある明生鍼灸院の木津副院長でした。

海外に提示できる国内唯一のエビデンスとなりうる、中リョウ穴刺鍼法や陰部神経刺鍼法の研究のこれまでの結果や、この治療法を導入するまでの経緯などについてお話しいただきました。

最後の講演は、不妊鍼灸ネットワーク会長・なかむら第二針療所院長の中村一徳先生

最後の講演は、同じく不妊鍼灸ネットワーク会長の中村一徳先生でした。

明生鍼灸院で行っている中リョウ穴刺鍼法や陰部神経刺鍼法に加え、独自の手法で低出力レーザーを治療に取り入れ、特に高齢不妊での体外授精などの補助治療に大きな成果を残しています。

中村先生からは、不妊鍼灸ネットワークでの研修の方向性と内容について主にお話しいただきました。

学会懇親会での1枚 左から木津先生、中村先生、森本先生、大阪・ガイア鍼灸室の堀口先生、アキュラ鍼灸院の徐先生

大会二日目には懇親会が開かれ、450名の参加者でビューホテルアネックスは立錐の余地もありませんでした。

ジャズのライブ、日本一の美声を誇る郡山市立第五中学校混声合唱団の合唱など、楽しいひと時でした。

私も森本先生と記念撮影(^^)

懇親会では森本先生を囲んでいろいろなお話を聴かせていただきました。ミトコンドリアの話は非常に興味深かったです。

いつの間にかアルコールも回り、記念撮影では畏れ多くも肩を組んで撮っていただきました。

この縁で、7月には不妊鍼灸ネットワークではHORACグランフロント大阪クリニックの見学にお招きいただき、培養室などのクリーンルームを見せていただいたり、クリニックの統合医療グループより『受胎鍼』治療などについて講義をしていただきました。

ふくしま大会より、日本での不妊鍼灸の世界がきっと変わります!