研究・勉強会

福井で講演してきました

福井県で、『はりきゅうの日』の講演をさせて頂きました。先月も個人的に友人の治療院の主催でお話しさせて頂きました。
 
<震災と原発事故>
 
福井県と福島県は実に様々な共通点があります。
実に様々な縁で結ばれているように思います。

県名が一字違い。海山の自然が豊か。そして原発王国。

福島県は1県で東京電力の発電量の3分の1をまかない、火力・水力・原子力・地熱・風力とすべてを合わせた発電量は日本一でした。

一方、平成9年、10年には原発発電量の日本一を福井県と福島県で競い合い、福島原発事故前の原発発電量は福井県が全国一で、国内原発発電量の4分の1を誇っているそうです。

電気が特産品、というのも福井県と福島県の相似点でもあります。

そんな事情もあってか3月11日の大震災と、その後に起きた東京電力福島第一原子力発電所の事故は他人事とは思えないようでした。

そのようなご事情で、震災と原発事故に絡んだ鍼灸の多様性について、2時間にわたってお話しさせていただきました。



東日本大震災による、家屋倒壊や津波被害による避難者は約12万人。そのほか、福島県では原発避難者が約12万人と、震災とほぼ同じ数もいらっしゃいます。



原発避難者のうち、4月時点で自治体に届けのある約3万人は福島県外への避難者です。

8月現在、県内へ在学する14万人の小学生のうち、約1割は転校で県内外へ転出しているそうです。
また県内では妊娠を控えるご夫婦も多いそうで、少子高齢化も以前より一段と増すことでしょう。

震災前の試算ですら、2035年には県内の人口は現在の202万人から165万人に減少すると言われています。
 
 
<鍼灸の多様性について>
 
鍼灸の効果を認める海外の諸団体
 

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日本では医療の傍流にある鍼灸医療ですが、米国国立衛生研究所の見解では、上記スライドのように鍼灸の効果を認め、『包括的な患者管理計画』での鍼灸の利用の十分な可能性について認めています。つまり鍼灸は全人的な医療として鍼灸が利用できる、と言うことです。
 

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国際統合がん学会(SIO)のがん統合医療ガイドラインでも、掲げている17項目のうち実に13項目は鍼灸に関するもので、鍼灸治療に対する客観的な評価や期待が大きく表されています。
 
 
<当院の症例に見る鍼灸の多様性>
 
鍼灸院でごく普通に対応している腰痛や肩こりなどではなく、下記の3つについて紹介し、鍼灸の多様性について触れてみました。

・潰瘍性大腸炎1例
・原因不明不妊(長期難治例1例)、男性不妊(乏精子症1例)
・円形脱毛症(多発性1例、汎発生・全禿頭型1例)
 
 
<潰瘍性大腸炎>
 

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特定疾患として治療費が公費でまかなわれる難病の代表疾患です。
以前学会で発表したものを紹介させて頂きました。発表原稿は→http://www.sanpei89in.com/study/uc.html

<原因不明不妊(長期難治例)>



不妊歴11年で、体外受精3回で妊娠せず、鍼灸開始後2年6ヶ月で自然妊娠、出産された症例。
詳しくは→http://www.sanpei89in.com/diary/diary.cgi?no=713

厳密には鍼灸だけではなく、妊娠直前に実施したHSG(子宮卵管造影)も大きな意義があったと思っています。

 
<男性不妊(乏精子症)>

http://www.sanpei89in.com/diary/diary.cgi?no=834
↑内容としてはこちらになります。
 
 
<円形脱毛症(多発性1例、汎発性・全禿頭型1例)>


 
すでに様々な治療で効果が見られない、多発性円形脱毛症への鍼灸の効果を写真で追って説明しました。

このほか、脱毛歴が10数年ある全禿頭型の汎発性円形脱毛症(頭髪ほか、眉毛、睫毛、ほか体毛一切の脱毛)に対しての良好な症例を紹介しました。


鍼灸はあらゆる疾患や症状に対応が可能ですし、末永く患者さんとおつきあいできるすばらしい医療です。

今、治療を受けていらっしゃる患者さんは安心して続けて頂き、また鍼灸師はその期待に応えられるべく、今後も勉強を続けて頂きたい・・・。

私自身への戒めのつもりで言葉を結びましたが、諸先輩方を目の前にして、実に生意気な話をしてきてしまいました。

福井県・県民のための はり・きゅう公開講座

8月7日(日)に、福井市で開催される『県民のためのはりきゅう公開講座』で講師を務めてくることになりました。

福井県鍼灸師会、福井県鍼灸マッサージ師会から組織されている東洋医学鍼灸マッサージ振興会では、毎年8月9日を『はりきゅうの日』と定め、様々な活動を行っているそうです。県民公開講座もその一つのイベントだそうです。
 

(当院玄関に貼りだしています。ご覧ください)
 
過去の県民公開講座では、国際的な免疫学者である新潟大学大学院の安保教授、埼玉大学東洋医学科の山口智先生など、国内外で有名な先生が講演されています。

開業している鍼灸師としては、私が初めてかも知れません(未確認ですが)。

与えられたテーマは『鍼灸の多様性』ですが、親の代から鍼灸を見てきて、実に様々な症状や疾患に鍼灸が効くことが分かっています。
NIHやWHOが認める以外の効果や適応も鍼灸にはたくさんあります。

あらゆる症状に対応できることや、全人的診療はプライマリケアでもあります。

そのようなお話しをしてきたいと思います。



上記写真は、福井テレビで講演をPRしてくれている福井の佐竹先生です。

冬季学術講習会

去る1月30日に、郡山市で所属する鍼灸師会の今年度最後の定期講習会;冬季学術講習会が開催されました。

講師は、福島学院大学名誉教授の菊地史子先生、鍼灸師会副会長で福島県プライマリケア研究会副会長の中沢先生(郡山市・一寸法師ハリ治療院)、宮城県岩沼市で開業され、また東日本医療専門学校教頭の川嶋和義先生。

講習会の報告は、
http://fukushima.harikyu.or.jp/blog/archives/50.html

全科対応、気軽にかかれる鍼灸院は、まさにプライマリケアの代表のようなもの。
社会から求められ、そして頼りにされる臨床家というものは、技術や知識ももちろんですが、まず対人能力を磨く事、そして誠意を持って話し合う事の大切さを感じた講習会でした。