不妊症

不妊鍼灸ネットワーク研修会 福島(三瓶鍼療院)

平成25年度第一回目の研修会が5月12日に当院で開催されました。

遠くは北海道・旭川や京都から会員の先生が参加され、盛大な研修会となりました。



参加者全員で記念撮影。

前列右から、
東京都八王子市 翠明館治療室 神薗克也先生
岩手県北上市  ラプレ針灸院 石川良子先生
神奈川県大和市 大和鍼灸院 徐 大恆先生
福島県いわき市 はりきゅうはしもと 橋本修一先生

中列右から
長野県飯田市  くま鍼灸院 熊谷賢一先生
愛知県名古屋市 明生鍼灸院 木津正義先生
群馬県高崎市  秋森指圧針灸院 秋森徹二先生
京都市西京区  なかむら第二針療所 中村一徳先生(会長)
福島県白河市  三瓶鍼療院 三瓶

後列右から
宮城県気仙沼市 潮見治療院 阿部千代人先生
宮城県仙台市  キュアーズ長町 小松範明先生
北海道旭川市  ナチュラリー針灸院 浜口健介先生
山形県山形市  麗明堂鍼灸院 五十嵐純知先生
神奈川県横浜市 せりえ鍼灸室 小井土善彦先生
東京都渋谷区  アキュラ鍼灸院 徐 大兼先生(事務局長)

治療のモデルさんを入れると総勢で16名!

治療室の床が抜けるんじゃないかと思いました。




鍼灸による不妊治療スペシャリストとしての見識をより一層高めるための研修は、年に3回開催しています。



第一講は、本会会長であり、なかむら第二針療所院長の中村一徳先生の講義。
細胞骨格の基本から、卵子の質を上げる育卵治療の意義についてお話頂きました。



第二講は、群馬県高崎市で開業されている秋森指圧鍼灸院院長の秋森徹二先生から。
月経周期の時系列からの取穴・治療についてお話しいただきました。
47歳のARTによる妊娠例の紹介もあり、会場がどよめく場面もありました。



昼食後の第三講は、当院で行っている不妊治療での妊孕性を上げる可能性のある基礎治療について、と、つわり症状治療について話させていただきました。

この研修会を当院で開催できたことは大変な光栄です。

さかご(逆子・骨盤位)の鍼灸治療

妊娠も安定期の中期を過ぎ、30週を迎える頃、産科婦人科の検診時に『さかご=逆子(骨盤位)ですね』といわれる方も多いようです。

ほっておけば治る事も多いので、初めのうちはあまり気にとめる方もいらっしゃらないようです。

鍼灸治療では逆子の治療は大変効果がよく、それがために逆子の治療を希望して来院される方が大変多いようです。
しかし、そのほとんどが35週を過ぎ、出産をまじかに控えた方ばかりです。

35週を過ぎると、胎児は出産のために産道近づこうと降りてきます。そのためまだ狭い骨盤内にて胎動も少なくなり、自然に逆子が治る確率は非常に悪くなります。

自然分娩を求められ、逆子の治療を希望の場合はなるべく早くご来院ください。 

逆子に関しての鍼灸の効果は、下記の根拠を掲げておきます。

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フランシスコ・ガルディーニ『骨盤位矯正に対する灸の効果』
JAMA(米国医師会雑誌)1998;280(18):1580-4

・左右の至陰(足にあるツボ)に、15分ずつ棒灸を行う。

・結果、胎動回数が増加(平均35.35回→48.45回に増加)
     頭位回転数も増加(62/130→98/130)

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高橋佳代『骨盤位矯正における温灸刺激の効果について』
東京女子医大誌1995.5(10)801-7
・実験と結果
  至陰穴に温灸後、胎動が有意に増加し、施灸後15分で減少してきた。超音波ドップラーにて、子宮動脈(UtA)、臍帯動脈(UmA)の血管抵抗を調べてみると、施灸後が有意に低下している。
・考察
  灸による子宮循環抵抗の低下は、子宮筋のトーヌスの低下を起こし、子宮筋の弛緩は胎動を容易にさせた。

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この2つの報告から、鍼灸治療は子宮の血行を改善し、特に臍帯動脈と子宮動脈の血行を改善した。その結果、子宮の筋肉が柔らかくなり、胎動が容易になって増えた→逆子が治る機会が増えた、と言うことでしょう。


当院での逆子治療は、安全に治療を行えるよう、胎児の状態をドップラー心音計や超音波画像によって観察しながら行います。



治療は5回目までは通常通り有料とし、5回目以降は何度治療しても正常に戻るまでは無料といたします。

38週の予定帝王切開のための入院前日までに治療を行い、手術がキャンセルとなった例も多数ありますが、なるべく早期の治療をおすすめいたします。

治療の目安(平成25年改訂版)

平成24年から治療法を大きく変え、従来の治療よりもより確実に効果が出ていると考え、下記のように治療の目安を提示させていただきます。


<自然妊娠を目指す場合>
 
2週で3回以上、1ヶ月に6回以上を1クールとして3クール行い、その後4ヶ月目からは週に一回とします。
 
 
<体外受精・採卵成績を改善したい場合>
 
数度採卵を行っているが、受精卵のグレードが低い、質が悪い、採卵に至らない(採卵するが、空胞や変性卵ばかりなど)などは、↓
 
2週で3回以上、1ヶ月に6回を1クールとして4クール以上行います。
 
4クールあたりから基礎体温などが改善してきますので、そのころから採卵を考えてみてはいかがでしょう。

※24年以前は、週に1回の治療で7ヶ月〜8ヶ月以上の治療が必要と考えていました

24年からは治療法の大幅な改善を行い、上記の頻度・期間で治療を行うことによって、FSHやAMHなどの卵巣機能・卵巣予備能に関するホルモンが改善する方が多く、卵巣機能改善には上記を目安にしました。 
 
 
<体外受精・胚移植の予定がある方>

初めての胚移植の場合は2週で3回以上、1ヶ月に6回1クールを1クール以上行います。(それまでの治療歴や成績によって大きく変わります。

数度の移植で妊娠に至らなかった場合、子宮内膜が薄いなどの原因がある場合は、2週で3回以上、1ヶ月に6回を1クールとして、3クール以上行います。
 
 
<無事、着床・妊娠された場合>
 
妊娠12週までは週に1回、それ以降20週までは2週に1回の治療をおすすめいたします。

※流産はその原因の7割が染色体異常によるものと言われており鍼灸は無効です。
ただし、残りの3割の原因に不妊の原因にもなっていたホルモンのバランス不良やストレスがありますので、鍼灸は有効です。

※妊娠後はつわり等も起きてきますし、遠方からの通院ですとそれ自体がストレスにもなりますので、その場合は提携先鍼灸院での治療を行っていただいたり、自宅でのお灸をすすめる場合もあります。
 
 
<習慣性流産・不育症>
 
週に1回以上、1ヶ月に4回以上を1クールとして、3クールの治療を行います。その間は避妊されることをおすすめいたします。(血液凝固第]U因子以上や、転座などの染色体異常などの先天的な原因がある場合はこの限りではありません)
 
また妊娠後は、妊娠12週までは週に1回、それ以降20週までは2週に1回の治療を強くおすすめいたします。
 
 
<提携先鍼灸院>

※患者さんとご相談の上、カルテや治療技術を含む診療情報の交換、共同治療も可能です。

県外 不妊鍼灸ネットワーク会員鍼灸院
   http://www.kodakara.org/members.html

県内 いわき市 はりきゅう・はしもと 橋本修一先生
   http://www.hariq.net/d_search/detail.php3?id=2274
   いわき市常磐湯本町三函183-4
   電話 0246-44-3246

   本宮市 心和堂はりきゅう院 矢吹 淳先生
   http://shinwado89.com/
   本宮市荒井字東畑55-6
   電話 0243-34-3178