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不妊・不育症・自宅灸のすすめ(2)


京都新聞の記事(クリックで大きくなります)


血行が改善するとか、冷えが良くなる、といった漠然としたお灸ですが、熱さを伝える神経の伝達物質の一つであるタキキニンが、卵胞の発育に関与するそうです。

またタキキニンは、『刺された痛み』『熱などの熱さ』について働くとのことですが、なんとなく鍼灸の物理的な刺激を示唆しているようにも思えます。

継続して(ハリによって)刺したり、(お灸によって)熱の刺激を与えるとタキキニンが増えるとか、卵巣にも存在するというタキキニンの受容器が活性化するとか、そういったことはまだまだ研究の途上でしょうし、そもそも刺す刺激や熱がそのまま鍼灸に結びつくわけでもありません。

昨年、不妊で来院されたかたがいらっしゃいまして希発月経もあって鍼灸治療を行い、自宅でも灸をしていただきました。
また専門医での診察もこれまで受けたこともなかったため、鍼灸治療を4ヶ月半行い、ほぼ周期的に来潮するようになってから栃木県の専門医の先生を紹介させていただきました。

紹介先の産婦人科医院様からは、『卵巣機能不全と思われ、検査加療いたします。鍼灸もそのまま継続してください。』と報告がありました。

(早期)卵巣機能不全には、自然閉経などのように卵巣内に卵胞がなくなってしまった早期卵胞喪失(PFD)と、卵胞はあってもホルモンの異常や卵巣内の受容体に異常があって卵胞の育たないGn-ROSがあります。

この患者さんの場合は4ヶ月半鍼灸と自宅灸を行って自然な周期で排卵が起きるようになったわけですが、特にお灸の熱刺激が卵巣内の受容体を働かせたのかも知れません。

この患者さんはその後、紹介先の先生からタイミング指導を受けながら鍼灸を行い、無事懐妊され今年7月に出産予定とのことです。

PCOSをはじめとする月経周期の異常で来院される患者さんで、クロミッドなどで卵巣が反応しなくなったようなケースは鍼灸をはじめると再び排卵誘発ができるようになる方が多くいます。

もしかしたらタキキニンなどが関与しているかもしれません。