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女性不妊治療用問診票について(3)

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女性不妊用問診票の解説の最終になります。

患者さんのライフスタイルを問う項目があります。

赤線を引いているところが特に重要なところとなります。それ外にも、たとえば飲酒量が多い方の場合は、『アルコール摂取量が多いと体内の葉酸が少なくなることがあり、妊娠した際に胎児に影響があることがある』と覚えておくとよいでしょう。

葉酸は極端に不足すると妊娠初期で二分脊椎などの奇形が発生しやすくなると言われています。また葉酸は妊娠前の摂取が不可欠で、妊娠してからあわてて摂取されてもあまり効果はないようです。

飲酒量の多い方については特に注意された方がいいでしょう。

喫煙についてですが、喫煙者の早期閉経が非喫煙者の2倍になることから、これも注意を要する項目です。

睡眠不足を問う項目があります。これは非常に大切なところだと思っています。睡眠不足は体内時計を狂わします。視床下部〜脳下垂体系のホルモンのシステムを崩す原因と私は考えています。朝になったら気分良く起床できて、おいしく朝食を頂けるような体調が大切と考えます。

ご夫婦間について問う項目があります。
お子様を望んでいらっしゃる方は?との項目があります。当然奥様が望んでいらっしゃる、と思われるでしょうが、記入された方の中で、一番強く望んでいらっしゃるのは?と質問されることは大切だと思います。

不妊の原因の半数は男性にあるのに、女性の患者が多い事実から、また普段患者さんに接していて感じることは、女性が原因のすべてを背負っているかの印象を受けるからです。

つまり、『主人に、親に申し訳ないから』と常に負い目を感じていらっしゃる可能性があると言うことです。

ほかの動物に比べて人間は不妊の多い生物だと思いますが、この原因の一つはそういった感情や知性があるからではないかと思います。様々なストレスが害になりますから、診察をすすめる上で、たとえ一度の精液検査をして合格したからと言って、不妊の原因のすべてが奥様にあるわけではないと、治療の合間にお話しされると良いでしょう。

性交渉について問う項目があります。
なかなか口頭で訊くことが難しいところで、問診票ならではの項目なのですが・・・ここが2〜3回前後くらいであれば排卵期ばかり狙って性交渉を持っていることが推定できます。当然、妊娠しようと思えばタイミングは大切なことですが、自然妊娠されている方の多くは、タイミングばかりにとらわれず・・・つまり妊娠ばかりを意図しないで性交渉を持たれている印象があります。

ただしデリケートな項目だけに、この部分に立ち入って質問する場合は何度か治療を行ってから、しかも一回だけ、の方がよいでしょう。

性交時に、痛みやまた不快感など感じる方も多いようです。痛みは、特に腹部などで感じる場合は子宮内膜症の場合もあります。またそもそも性交渉が嫌いな方もいらっしゃいます。

ご主人について問う項目があります。
主に精液検査をしたかどうか、その結果と、精液検査をしていなかったら、流行性耳下腺炎とそけいヘルニアの既往を伺います。
精液検査をしていない場合はもちろん受けて頂くことが必須となりますが、この2項目は精液検査を受けていない方の場合は特に注意を要します。(今後、この項目について変更の可能性があります)


(まとめ・終につづく)