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卵管の働きと不妊症(2)

卵子と精子が出会えないピックアップ障害については、

1)おそらく鍼灸治療では効果のあまり期待出来ない卵管と周辺臓器や腹膜との癒着。
(高度な癒着があれば、鍼灸ではどうにもなりません)

細かく言えば、たび重なる子宮内膜症によって炎症を繰り返し、卵子を取り込むべき卵管の先(卵管采)が変形していて卵子を取り込みにくくなっている、などと言うのもあるようです。

2)お腹の固い方にみられる腹部瘀血により、腹膜内の圧力などが起こり卵管が機能しにくい。
お腹が固い方には、卵巣周囲が固く押して痛みを訴える場合もあるし、子宮周辺が固く、やはり押して痛みを訴える方も多くいらっしゃいます。
また腹部全体が固くて、どこを押しても痛みを訴える方もいます。
(これは鍼灸治療によって効果を期待出来ると思います)

卵管の働きには、ピックアップした卵子を子宮まで輸送する機能や、輸送の途中で精子と出会わせ、受精後はゆるやかに培養しながら受精卵を輸送するという働きもあります。

卵管の卵子の輸送は、卵巣→子宮と一方的ではなく、時期によっては卵管に戻ったり子宮に出たりと移動を繰り返しているようです。卵管に戻るタイミングも子宮に出るタイミングもホルモンの状態が関係するという事ですが、これは加藤レディスクリニック院長の子宮回帰説です。このようにヒトの妊娠は卵管による培養機能が大きく関係しているようです。
ヒトに子宮外妊娠が多いのはそういった原因なのかと思ったりもします。

卵管の閉塞があって、卵管水腫がある方の場合、体外受精による胚移植を行っても成功率は高くないそうで、これは水腫の内容の卵管液が高いPHを持っているからだと言われています。

卵管は粘膜、筋層、漿膜の3層からできており、筋層と粘膜はほかの臓器と同様に自律神経の支配を受けているだろうと思います。
胃粘膜は精神的緊張などによる交感神経亢進で薄くなり、薄くなった粘膜は胃を保護出来ずに胃酸による刺激を受けて潰瘍になることはよく知られています。

胃の運動も自律神経に関係が深く、特定のツボにハリを打つと、胃下垂などで動きにくかった胃が動いたりと、興味深い効果が報告されています。
これは胃の働きを調節している自律神経の働きがハリによって改善されたから、と考えられています。
胃壁の筋肉にある血管の血行も改善し、胃粘膜を十分に分泌する働きもあります。

胃と同様に、また卵管も鍼灸によって動きやすい状態になるのではないかと考えます。また卵管への血行が改善することによって良い卵管液が分泌するのではないかと考えます。

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以上の内容については非常に独善的であって、医学的根拠には乏しいものです。
間違っても引用したりしないようにお願い致します。
当院は実験的な施設も環境もなく、患者さんや動物を使った生体実験は行っておりませんし、日々日常の診療中に思いついたこと、疑問に思ったことを書き連ねているに過ぎません。

上記記事の内容については、

『不妊治療はつらくない』
加藤レディスクリニック院長
加藤 修著
主婦の友刊 1600円
ISBN978-4-07-233307-5

以上の書籍を参考にさせて頂きました。