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『生殖医療のすべて』 山王病院院長 堤 治先生著 を読んで

先日ご紹介させて頂いた加藤レディスクリニック院長の書かれた本とは対照的な、日本ではスタンダードな不妊治療について詳細に、かつわかりやすく書かれた本です。




『生殖医療のすべて』
丸善ライブラリー刊 789円
ISBN-9784621052853

内容
第1章 妊娠の成立―生命誕生のしくみ;
第2章 不妊診療の入り口で;
第3章 不妊症の診断と治療;
第4章 体外受精とその応用;
第5章 環境ホルモンと生殖;
第6章 子宮内膜症と不妊;
第7章 内視鏡・腹腔鏡の威力;
第8章 出生前診断・着床前診断;
第9章 生殖医療の問題点;

この本では東大産婦人科学教授であったころからの堤先生の研究テーマである環境ホルモンと生殖や、腹腔鏡による手術について深く書かれています。

また前編の妊娠の成立や診断や治療、体外受精とその応用の話は、生殖や不妊を理解する上で大変わかりやすく書かれています。

特に治療に際して調べられるホルモンの異常や使われる薬剤の意義と注意すべき問題点について効果だけではなく負の部分については、臨床医の立場よりも科学者の目での効能を中立に書かれていると感じました。
これまで普通に行われている不妊治療の問題点を挙げながら、今後さらに高度に進んでいく治療についても触れられています。


当院へは福島県内からの不妊の患者さんから、県境をまたいで栃木県北部(那須塩原市、大田原市、那須町)の方も多くいらっしゃいます。
その方たちの何割かは、西那須野にある国際医療福祉大学のリプロダクションセンターに受診されている方がいらっしゃいます。

現在この本の著者の堤先生は、山王病院の院長をされながら国際医療福祉大学の教授もおつとめになられています。(山王病院の部長クラスは、ほとんど国際医療福祉大学の教授のようです)
国際医療福祉大学・リプロダクションセンターに受診されている方は、一読されてはいかがでしょうか?

また不妊治療を行う鍼灸師のみなさんなども気軽に買える本ですので、ぜひお読みください。

読書の感想を書こうと思いましたが、先に紹介させて頂いた加藤レディスクリニック院長・加藤修著の『不妊治療はつらくない』とあわせ、後日書いてみたいと思います。