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2006年 海の日ツーリング 後編(終)

海の日ツーリングの第2日目。

ほどほどにアルコールを控えたせいで目覚めはよい。

昨日のMyバイク爆発炎上未遂事件に懲りて、早朝4時半に目を覚ましてバイクのメンテを急遽行うことにした。
こんなこともあろうかと、キャブの調整用に長いドライバを車載工具とは別に持ってきた。

誰もいないホテルの廊下を、こんな長いドライバーやら工具を持って歩くのはきわめて怪しいに違いない。事情を知らぬ人が見れば、自販機荒らしとかに見えることだろう。

幸い、誰にも会うことなく、ホテルの外に出ることが出来た。

梅雨真っ盛りのツーリングだが、幸運なことに昨日はカッパを着ないですんだ。ホテルの外に出て空を仰ぎ見ると、まだ雨は降っていないが、重苦しい曇り空だ。今日は間違いなく降られるだろうと確信した。

燃料タンクを降ろす。タンク裏にある燃料フィルタから、溜まった粉錆をガソリンと一緒に排出させる。この粉錆がキャブレタ内に入り込み、ガソリンの流入を調節するバルブに噛み込んでバルブを開けっぱなしにしてしまう。

30分ほどバイクをいじり、とりあえず応急処置を施した。すぐまたホテルの部屋に戻る。戻る途中もドライバをTシャツの中にしまい込んで、人目に触れることを避ける。
なんの因果で旅先でこんな事しているのだろうか?
怪しさ120%の朝だった。

部屋に戻って一風呂浴びてテレビを見ていると、6時になった。予想通り天気予報では確実に雨が降るらしい。天気図からすると夕方近くには梅雨前線に突入するかも知れない。
退屈なので携帯で隣の部屋のK君を叩き起こす。彼もすでに起きていたようで、こちらの部屋に遊びに来る。

予定通り、8時にはホテルをチェックアウトし出発する。
今日のコースは、南三陸の海岸線沿いに下り、志津川〜女川とまわり、牡鹿半島周遊の起点・鮎川でクジラを食べて石巻から高速に乗り、仙台〜白河と帰るコースだ。

 ホテルから走り出してすぐの所に『海の市』という観光施設がある。ここは事前にM君がリサーチして置いてくれた。1階はお土産や、気仙沼近海から獲れる魚介類を売る市場、2階は飲食店が並ぶ大きな建物だ。すぐ隣には漁港と大きな公設の市場がある。


 一階のお土産屋や魚介類の市場に行くとトゲのうごめくウニや、生きているホヤ、丸々と太った砲弾のようなカツオ、などが並んでいた。


 まだ朝も早いので、品揃えをチェックする店員さん。
 すぐ近くのコーナーには日通のカウンタが常設してあり、ここからクール便で発送が可能。


 2階のレストラン街では、この時間でも一軒だけ開店していた。
 朝なので数種類の朝定食しかなかったが、値段を聞いてびっくり。カツオの刺身定食が500円(消費税込み)で、ご飯・みそ汁のお代わりが自由、しかもコーヒーなどのドリンクバーが付いているという。かなりお得な内容。

店内にはいると、明らかに土地の人と分かる人たちが3〜4人グループになって思い思いに朝食を摂ったり、コーヒーを飲んでいる。言葉もこのあたりの訛のようで、勢いがある言葉遣いだ。おそらく市場関係者なのだろう。そういった公設市場で働く人たちが食事をする市場食堂のようなものも、ここは兼ねているらしい。

昨夜の刺身が美味しかったので、期待して朝からカツオの刺身定食を食べる。これがまた美味しかった。オプションの生卵(50円)、納豆(50円)で、丼二杯も食べてしまった。

重くなったお腹をさすりながら、出発する。まず国道45号線に出る。今にも降り出しそうな空だが、今もって降らないでいてくれるのがありがたい。

南下するにつれ、国道左手に海が見えてくる。コバルトブルーの海、と言いたいが、曇天の空を映し、やっぱり灰色。

国道ゆえ、いいペースで走っても必ず前を走る車などに追いついてしまう。そんな時でも、追い越し禁止の区間では無理してまで追い越ししない。何しろ無法もある程度許される10代の悪ガキではなく、いいオッサン4人衆である。しかしながらいいコーナーがつづく道で、前に車がいないと後を気遣いながら先頭のM君はペースをぐっと上げる。先頭は神経を大変使っているだろうな。そんなことを考えながら走っていると、国道も398号線に入り、東北一の大河、北上川のほとりを走っていた。

緩やかに流れる北上川は、対岸は見えるものの、まるで海のように広かった。葦の広がる川岸を望むと、いつか読んだ中国の古典文学・水滸伝に出てくるような、湿地の広がる中国の大河を思い起こさせる(行ったことはないけど)

南下するにつれ、だんだんと路面は濡れたところが多くなってきた。また道幅も車同士ですれ違うには厳しいような狭いところも多くなる。スリップしないように慎重に走るが、それでも追いついてしまった車を慎重に抜く。追い越したら手を挙げて『失礼しましたm(_ _)m』を忘れない。

女川に入る手前の見晴らしの良い崎山展望公園で小休止。
女川湾を一望できる高台の展望台だ。

ここから走り出し、しばらくするとコバルトラインに入る。以前、有料道路だったと記憶しているが、今は無料。晴れて路面もドライならバイクには楽しいはずのコースだが、あいにく路面はほぼ全線に渡ってウェット。しかも時折濃霧に覆われ、視界が厳しくなる。

上ったり下ったり、右に曲がったり左に折れたり。小休止から小一時間走ったろうか? やがて牡鹿半島先端にほど近い、鮎川にたどり着く。いまは合併して石巻市になっている港町だ。昭和40年代まではクジラの水揚げで大変な活気があったそうだ。

ここでちょうど12時くらい。小雨から、だんだんと雨足が強くなる。

 『鮎川のクジラ食いも散歩コース』と言うM君の行きつけのクジラ料理屋『丸忠食堂』で本日の昼食。
クジラの問屋もやっているらしく、昨年はじめてM君に連れてきてもらった。ここでは名物のクジラ料理のほか、ホヤやアワビなど、海の幸が手頃な値段で味わえる。


 クジラは幼稚園や小学校の時に給食で竜田揚げとして食べ、その時は美味しいものだ、というイメージしかなかったが、なかなか手に入らないこのご時世では、本当に貴重な食べ物だ。
 M君、H君、私は竜田揚げ定食1500円、K君は焼き肉定食1500円をオーダーし、そのほかクジラフルコース(大)5000円ナリを注文した。料理が運ばれる合間に、丸忠食堂の名物社長(72歳)から南氷洋の捕鯨の全盛時代などの貴重な話しを聴かせていただく。セピア色に色褪せた写真パネルを出していただいて、クジラの珍しい生態などについて拝聴する。『マッコウクジラは?千メーターも潜水する』『これがクジラのだぞ。でかいだろ〜』・・・(汗)・・・これには一同ニガ笑い。
 社長のレクチャーもだんだんと熱を帯び、次第に国際情勢についての講話に移っていく。


 と、待ってました!のクジラフルコース(大) 内容は、クジラ赤身刺身、クジラの脂、さらしクジラ、ものすごく高価で貴重な白ベーコン刺身。東京・大阪のクジラ料理屋では、もうちょっと格好良く盛りつけられるが、途方もない金額になるだろう。飾り気もなく密に盛られた大皿料理だが、とても旨かった。赤身と脂をペアにして頬張るが、一切れが大きく、たっぷりのおろし生姜と醤油で口に運ぶと、赤身の上質なタンパク質と脂のうまみが口中に広がる。


 『これは店からのサービス』と言う、なにやらワケアリのクジラの刺身。尾の身ほど脂はないが、赤身よりとろけるうまみが強い謎のクジラ。去年来たときもいろいろサービスしてもらったり、バイク乗りには優しいクジラ料理屋さんだ。


クジラを堪能したあとは、カッパを着込んで石巻河南ICから三陸自動車道へ。仙台南ジャンクションで、懐かしき東北道に入り一路白河を目指す。時折激しく降る中をめげずに走る。

 途中、菅生PAで給油と休憩、安積PAで休憩し、白河インターで降りるM君、K君と短くホーンを鳴らして別れ、矢吹インターでH君と一緒に降りる。帰宅は6時半すぎ。天気予報通り、夕方の雨はかなり厳しかった。今どきのカッパは良くできていてほとんど濡れることはないが、手に付けているグローブは絞れば水が滴るくらいずぶ濡れ。寒くはないのがせめてもの救いだ。



今年もバイクシーズン入り口の海の日1泊ツーリングは無事に終了した。高校の時から学校に隠れて自動二輪の免許を取り、こそこそ乗っていた友人とのツーリングも今回で何回目になっただろうか。どこに行っても『職場の旅行ですか?』と訊かれるが、『高校の時からの同級生です』と応えると、いつも驚かれ、羨まれる(H君とは小学校から同級生だったりする)。

ツーリングというと一人旅とかそんなセンチメンタルなイメージがあるが、こんなドタバタの、まるで修学旅行のような旅も捨てがたい。

---以下、旅の備忘録---

16日昼食 ジンギスカン
ジンギスカンハウス遠野食肉センター
http://www.jalan.net/kanko/SPT_152173.html
電話0198-62-2242
岩手県遠野市松崎町白岩20-13-1

16日夜宿泊 ビジネスホテル
パールシティホテル気仙沼
http://www.hmi-hotel.co.jp/miyagi/kesen/index.html
電話0226-24-2511
宮城県気仙沼市古町3-2-42

16日夜 居酒屋
ぴんぽん
webなし
電話0226-23-7007
宮城県気仙沼市南町1-2-3

17日朝 朝食
レストラン海の市
http://www.uminoichi.com/
電話0226-24-7020
宮城県気仙沼市魚市場前7-13

17日 昼食(クジラ料理)
丸忠食堂
webなし
電話0225-45-2510
宮城県石巻市鮎川浜黒崎
金華山行きフェリー乗り場すぐわき