個別表示

不妊症の患者さんたち(8) コウノトリが2羽飛んできたお話し

結婚後11年が経っていたが子宝に恵まれず、3月の中頃から通院を始めた37歳の患者さん。

これまで数年の間不妊治療を続けられ、その間、AIHが9回(もしかしたらそれ以上?)、昨年に体外受精による胚移植を行うが、すぐに失敗してしまったそうだ。

お体を拝見してみると、脈はしっかりしている。均整は取れている体格で、色白で柔らかそうな肌ではあるが、へその下・下腹部全体が非常に硬い。

4月に2回目のIVFを行う予定だ、と言うが、このお腹の硬さからするとよい結果が出そうには思えなかった。

下腹部が硬い、というのは骨盤内の臓器が硬くて手に触れる、と言うものではなく、たとえば子宮やまわりの組織に血行の悪い状態があれば、直上の腹筋などに硬さとなって現れるのである。これは当院では婦人科疾患では特に重視している。
また特に下腿に体質的と思われる軽度の浮腫などがあり、まずは骨盤内の血行を良くし、着床しやすいような環境を作るような治療を行うことにした。

治療は週に一回行った。
欠かさず毎週治療を行い、またこの患者さんは自宅でも指導した通り熱心にお灸を行っていた。

4月の終わり頃、2回目のIVFを行った。

鍼灸治療の際に、脈と下腹部の硬さは特に意識してよく診ているのだが、柔らかさと暖かさが出ては来たが、まだ早いかな?と思っていたりした。

卵子は17個採卵したそうで、この中から選りすぐりのものを選んで受精させ母胎に戻したそうだ。

着床が確認されてからは、ずっと服用していたカバサールのほかに、小児用のバファリンが処方された。胎盤に血栓ができたりするとそれによって流産してしまうので、血液の抗凝固作用のある小児用のバファリンが処方されたようである。

胎嚢が確認されると双子であることが分かったそうだ。
流産予防の鍼灸治療は2週に一回で、安定期にはいるまで行うことにした。

現在で8〜9週と言ったところで、すでに悪阻の症状も出ている。

今週の土曜くらいに来院すると思っているが、前回行った悪阻の治療の効果が薄ければ、ずっと休んでいた耳のツボを使ってみようと思っている。