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18年度総会+春季学術講習会

4月23日(日)は、午前中に我が福島県鍼灸師会の18年度通常総会と、午後から春季学術講習会が開催されました。

総会では今年度は役員改選があり、これまでの高橋秀行先生(二本松市)から、新しい会長として安斎昌弘先生(二本松市安達町)へ会長職がバトンタッチされました。


以降は午後からの春季学術講習会です。

 演題名は『正経・奇経統合理論とその臨床』

高橋先生は東北の鍼灸師会ではじめて青年部を設立し、長年にわたってご活躍され、4期8年の会長職を勤められました。


私は臨床家としての高橋先生をほとんど知りませんでした。ただ理事会や会合で先生のお話伺うときに奇経治療を実際の臨床に取り入れられ、またその道では知らぬ方がいない山下詢先生に教えを受けたそうで、機会があればぜひご講演を、と考えていました。


会長の講演を拝聴するのは、たぶんほとんどの会員の先生方もはじめてであったと思います。
みなさん真剣に講義を聴き、静寂な会場内ではメモ書きのペンの音が時折響いていました。



奇経治療の理論を講義され、その後は会員の中からモデルを募っての実技披露でした。

人体には経絡と言われる目に見えない線路のようなものが存在し、その線路にはたくさんの駅(経穴=つぼ)があります。実際にその線路を走っている列車は『気』であり、鍼灸はその気の動きをコントロールして疾病の治療をします。


気の流れる線路=経絡は、手足の三陰三陽の正経12経脈に任脈・督脈を足した14経脈があり、そのほかに奇経として帯脈や陽維脈など8つがあります。

これら14の経脈と8つの奇経を統合してとらえる高橋先生の治療は、気の動きをわずか数本の刺鍼で統制するという見事なもので、ご自身の40年を超える臨床の中で培ってきたと納得させられました。

『胸の中がすーっとしていくようだ』とか、『刺鍼中にお腹が減ってきた』など、モデルとなった会員の先生の感想から、たった数本と言う少ない刺鍼でも生体は反応することに驚いている様子がうかがえました。

生理的にも侵襲の少ないこのような経絡・奇経治療は、たとえば産科領域(不妊症や逆子など)の治療に最適な治療ではないかと思います。