個別表示

不妊症の患者さん

6月の日記で書いた37歳の不妊症の患者さん、いよいよご懐妊となりました。

カルテを見ると初診日は12月3日ですから、ほぼ一年に渡って通院されたことになります。

当院への通院はほぼ週に一回。
自然妊娠ではなく、郡山の産婦人科医院による胚盤法といわれる胚移植によるものでした。

不妊治療で鍼灸治療を行い、なぜ胚移植?と疑問に思われる方も多いと思いますが、自然妊娠を目指す不妊治療だけが鍼灸の効果ではないのです。

この患者さんの場合は、まず既往で子宮筋腫の手術があります。
もともと最初に受診した産婦人科(総合病院クラス)では、子宮の全摘出と言われたそうです。

そこで患者さんはいろいろと調べ、ちがう病院で子宮の筋腫だけを切除し、子宮自体を温存する治療を受けました。

手術は成功し、全摘されるはずであった子宮の多くは残されたそうでした、が、子宮自体の大きさは、正常な大きさの3分の2になってしまったそうです。

またその後様々なホルモン療法を行い体調を崩されたのでか、子宮内膜も最大で4〜5ミリくらいにしかならなくなったと、当院のカルテには記載されています。

このような状態では正常な妊娠はまず無理だったと思います。

鍼灸治療は、まず妊娠は考えず、冷え性気味の体を温め、足腰に血液が集まるような治療を行いました。

黄体期後期くらいから月経期には、スムーズな血液の入れ替えを目的として、三陰交や血海にハリ電極による低周波通電を行いました。

また腰部正中上の圧痛をよく診て、特に灸を行いました。

このような治療を継続したところ、子宮内膜も徐々に厚くなり、子宮の大きさも少しづつ大きくなっていったようです。

世界的に出産が高齢化しているなかで、特に不妊治療における鍼灸治療への期待が大きくなっているようです。
2002年にはドイツで不妊治療における鍼灸治療併用の効果の研究が発表されました。

それによると、

『ところがこうした(西洋医学的な)不妊治療に加えて、鍼治療を平行して行うと、妊娠率が極めて高くなるという研究結果が出ている。2002年にドイツの不妊治療専門が行った調査によると、一般的不妊治療を行っている女性が、鍼治療を平行して行うとその42%が妊娠したという結果が、専門誌に発表されている。』

という結論が出ています。


また別の20代後半の患者さんが当院にはいらっしゃいます。

子宮癌(頸部癌)の疑いで検査・治療を病院で行い、その後黄体機能不全によると思われる生理不順となり、その頃から当院で鍼灸治療を開始しました。

当院治療中に多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)、高プロラクチン血症であることが判明しました。

しかしながら、基礎体温もメリハリのある2層になり、体調そのものは悪くなかったようです。

当院での治療は東洋医学的な証に基づいて治療しておりますので、あまり姑息的な変更はなかったのですが、頭部への灸をていねいに行うようにしました。

その後大きく改善し、17年10月28日の病院の検査(D13=月経周期13日目)では左右とも卵胞多数、そのうちの主席卵胞は左右とも10ミリ以下、子宮内膜の厚み9ミリであったのが、一ヶ月後の12月3日(D13)では右卵胞14ミリ、子宮内膜7ミリ、D16の12月6日には右卵胞が19ミリ、子宮内膜の厚さは12ミリと大きく改善したようです。


この患者さんのもとにも、早期にコウノトリさんがやってくるものと期待しております。