No.1009の記事

研修会での内容

先月開催した不妊鍼灸ネットワークでお話しさせていただいた内容を書いてみたいと思います。

その前に・・・

昨年12月は7名、先月1月は追加で3名が妊娠され合計で6名の方が妊娠されました。

2月は、無事に当院を卒業された方が二人いらっしゃいました。
うち1名は妊娠20週まで治療を行いました。
もう1名は12週で一応の終了としました。

特に高齢不妊患者さんの多い当院では、(予防できるの種類の)流産率の低減化、早産の予防は、妊娠率の向上と並んで永遠のテーマになっています。

本来であれば、元気な赤ちゃんを産んでいただくために20週まで続けたいところではありますが、12週で一応の一区切りとした患者さんは、特に遠方からの来院であったので、今後の通院にかかる疲労とトレス考えて、一応の卒業終了としました。



(患者さんご快諾のもと、エコーの映像を掲載させていただいています・当院では診断目的ではなく、安全で効果的な鍼灸を行えるよう、妊婦さんに対しては超音波やドップラー心音計を用いて観察をさせていただいています)

京都の研修でお話しした内容は、平成24年度中に初診で来院された患者さんの妊娠率・治療継続率・脱落率についてです。



24年中に不妊でいらっしゃった初診の女性患者は55名で、うち33名が体外授精などART(高度生殖医療)経験者でした。





上の表にはその33名の年齢と移植回数や採卵回数、転帰を表示しています。

妊娠については、治療開始後1年間の期間を設けて妊娠率を挙げてみました(胎嚢確認をもって妊娠とし、化学的流産は含んでおりません)。



体外授精などのART経験者では、約1年の間に半数以上の方が妊娠されています。
妊娠18名で55%、治療継続8名で24%、脱落された方が7名で21%でした。

なお、治療継続グループでは1年超となってもその後に妊娠される方が半数以上ありました。

24年初診のART経験者で妊娠された方については数からいえば20人に満たないくらいですので、患者さん個別の通院状況が思い出せます。
妊娠された患者さんについては、やはり十分な治療頻度(週に一回以上、または2週で3回以上)で通院されている方ばかりでした。

一方、通院頻度がまばらで、2週以上間隔が空くような方は治療10回未満くらいで脱落される方が目立ちました。。

このグループにも、治療さえ十分に受けられたら妊娠できたであろうかたもいらっしゃったはずで、たいへんもったいないように思います。

ずばり研修の目的はこの方たちを脱落させずに妊娠に導く、というものでした。



ART未経験群は、脱落率はART経験群より脱落率が少し多く、またグラフには表示していませんが脱落に至る期間も早期(多くは3回以内)という傾向がありましたが、母数が少ないため統計的な意義を見出すまでには至っておりません。
妊娠が12名で54%、治療継続が3名で14%、脱落が7名で32%となっています。

印象的には、ART群ではすでに凍結胚などを持っていて胚移植のためだけに鍼灸を行った場合よりも、採卵前から鍼灸を十分な頻度と回数で行っていた方に妊娠された方が多かったように思います。