No.167の記事

鍼灸師会・講習会

私が所属している鍼灸師会では、毎年、春・夏・冬の定期講習会を開催しています。

また東北6県の鍼灸師が集まって学術の発表、技術の研究や研鑽を重ねる東北鍼灸学会に参加し、会員からの発表論文の選定や推敲なども行っています。

医師と比べるべくもありませんが、こうして日進月歩の医学を学び、また伝統に裏付けされた技術を研鑽すると言うことは開業してしまった鍼灸の先生方には、案外難しいことなのかもしれません。

さて、今度の日曜(11月26日)には、郡山市・ビッグアイで鍼灸師会の冬季学術講習会を行います。
この講習会を終えると、年内の鍼灸師会行事はすべて終わります。

11月26日(日)には、県立医科大学の副理事長で附属病院の院長を兼任される整形外科教授の菊地臣一先生をお招きして、『頚椎損傷と腰痛治療に対する新しい流れ−Evidence-based medicineの概念から−』と題した講演を午前中に行います。

同日午後からは仙台市の赤門鍼灸柔整専門学校講師の亀井啓先生による実技を含む、『スポーツ障害の鍼灸治療』の講演を行います。

我が鍼灸師会ではこのような研修を定期的に行って、県民のみなさまに安全で効果的な鍼灸治療の提供ができるよう、会員先生方の資質の向上を第一に考えています。

Evidence-based medicine・・・
根拠(Evidence)に基づく(based)医療(medicine)、という意味ですが、ここ数年は最先端医療を含む西洋医学のみならず、鍼灸の世界でも提言されている言葉です。

鍼灸は数千年の歴史を持つ、副作用の心配のない安全で効果の高い医療です。しかし数千年前から廃れず続いているという事実だけをよりどころにしているのでは、このすばらしい医学を後世に伝えることは出来ないでしょう。

魔術や奇術、呪術ではないしっかりとした医療であるならば、その効果は科学的にも解明され、『なぜ効果があるのか』という疑問に対してのしっかりとした根拠が提示されなければならないと考えます。

今回の講習会の2つの演題は、講師の先生の知名度ともに大変関心が高く、鍼灸師会会員のみならず、私もお世話になっている国際メディカルテクノロジー専門学校からは鍼灸学科のほぼ全生徒と教職員のみなさん、また福島医療専門学校鍼灸学科、福島県立盲学校などの学生、全日本鍼灸学会福島地方会会員の先生方など、大変多くの先生から参加の申し込みがありました。

当初の参加予想をはるかに超える申し込みがあり、急遽大会場に変更しての開催となります。

『腕がいい、上手、名人と言うだけでは、これからは病人の治療はできない時代になる』とは、当院の先代の院長の言葉です。

広範な知識を吸収し、病院などの医療機関と連携できるような、そんな鍼灸院がこれからは必要になるだろうと思います。

講習会に参加される先生はきっと勉強家で、患者さんに信頼される先生に違いないでしょう。

また参加される学生のみなさんは、きっとすばらしい臨床家に育つことと思います。