No.396の記事

古くからの患者さんとの会話

今日は夕方早めに、助手の添田さんにお使いを頼んでそのまま帰宅してもらいました。

夕方も早くは治療院ものんびりモードで(いつものんびりですけど;汗)、、、先代の頃から治療させて頂いている患者さんと、治療をしながらいろいろと貴重なお話しを聴かせて頂きました。

私の父である先代の院長は全盲でした。
目は不自由でしたが、杖なしで外出し、またパチンコでは常に連戦連勝・・・後年はパチスロにどっぷりはまり・・・それでも勝つことの方が多かった、『カンの鋭い』父でした。

鍼灸治療に限らず、医療技術はすべて学と術の両輪がないとうまく回らない・・・と言っていた先代の院長でしたが、私から言えば名人の中の名人で、学よりは術で、とにかく脈診から治療から、芸術的な鍼灸師であったと思います。

ヴィルトゥオーソ(virtuoso ; クラシック音楽や芸術の用語で“名工”“匠”“達人”を表すイタリア語)は、持って生まれた天性の才能に恵まれている一握りの人を指して言います。父もそんな才能があったのだと思います。

治療に来ていらした古くからの患者さんには以前から『大先生(おおせんせい)の治療の時は、とにかく脈やお腹を触ると悪いところをズバリ、どんどん指摘された』『持病の狭心症で苦しいとき、脈を取りながらたった2〜3本ハリを打ったら、すーっと楽になった』など聴かさていました。

この患者さんは、代が変わって私が治療をさせて頂いても、体調を崩すとすぐに治療にいらっしゃる方でした。
先代の治療も私の治療もずいぶん長く受けて頂いています。

今日は先代の治療と私の治療との相違点を思い切って訊いてみました。

患者さん曰く
真一先生(私)の腕は悪くはないが、名人にはほど遠い(苦笑)しかし大先生にない良いものを持っている』とのことでした。

なにかうまくはぐらかされたような気もしますが(汗)、そんなのんびりした会話で患者さんともども先代を偲んだ夕暮れ時の治療室でした。