No.736の記事

自然妊娠されたPCOS(多嚢胞性卵巣症候群)のある患者さん(1)

不妊症治療に携わっていると、もしかしたら自分が行っている鍼灸はほとんど効果のない治療なのではないか?と、疑うこともありました。

言い回しが過去形なのは、数年前から妊娠された方がだんだん多くなって来たためです。患者さんともども苦労が報われた思いがします。

昨年は1月から12月末までの1年間で26名の方が妊娠されました。
最短で5週、最長で3年2ヶ月。

最短の方は二人目不妊で、どうやら排卵前に第一回目の鍼灸を行い、その週に妊娠されたのだろうと思われました。当院来院以前に十分な排卵誘発治療などを行っていて、それも効果がなく休止中でしたので、鍼灸を初めすぐに妊娠されたことも偶然やまぐれではないと思っています。

最長の3年2ヶ月という方は、来院時から多能胞性卵巣による不妊で産婦人科での治療を行われていた方でした。

鍼灸治療と並行して、クロミッドによる排卵誘発→腹腔鏡による電気的卵巣焼灼術→排卵誘発+AIH(配偶者間人工授精)を4回行いましたが妊娠せず、その後鍼灸だけ治療を行ったところ、希発月経〜無月経になりました。

PCOSで肥満が認められる場合、体重5〜10%の減量を行うと自然排卵が起こりやすくなる、またクロミフェンでの排卵誘発も効きやすい、とのことです。

この患者さんは自発的にダイエットされたのではないですが、非常にストレスの多い仕事をされ、そのせいで痩せてしまったのです。

それが良かったのか鍼灸を行っていたら、卵巣の手術から1年後にBBTが正常化し、さらに半年経ったら自然に妊娠されました。

ほかの難しい不妊の患者さんと同じく、また以前にBBT(基礎体温)を含めてブログで紹介した患者さんと同様に、長期となった治療のため、いったんは鍼灸のみで治療しながらも専門医を紹介して治療を始めようと言う段階での自然妊娠でした。
今回は子宮卵管造影などの検査も全くしていませんでした。


昨年10月の八戸での北東北臨床研修会で、妊娠されたばかりのこの症例を講演の間に紹介しました。

妊娠後も安産鍼灸・流産予防の治療を行い、つい2月3日に何事もなく妊娠20週を迎えました。
20週を迎えたら、ブログに書いても良いと許可を頂いていたので、何回かに分けて書きたいと思っています。

またこの患者さんは、ご主人の都合で3月以降に郡山方面に転居されるそうです。
患者さんのご希望で、臨月近くからの安産の鍼灸を行って頂ける鍼灸院を紹介したいと思います。