No.405の記事

うれしいお知らせ

毎朝のとおり、出勤の時にポストを覗くと1通の写真付き葉書が届いていました。

赤ちゃんの写真です。
あれ?どこの赤ちゃんだろ?と差出人を見ると、去年の今頃不妊症で通院されていた方からでした。
今年の2月下旬に無事出産されたとのこと、あぁ良かったなぁ、しかも利発そうな男の子だ、、と、この日は朝からご機嫌で診療をしました。

少し気になることがあり、この患者さんのカルテを探し出して確認してみました。
私の記憶では、体外受精を2回行い、2回とも良い結果が得られず、それで鍼灸を始めた・・・と覚えていたのですが・・・

ところが・・・なんと、カルテで確認すると体外受精は3回やっても子宝に恵まれず、3回目は杯盤胞移植を行うも5週5日(5W5D)で初期流産してしまったと記載されています。

写真付き葉書を頂いたお礼と、お祝いの一言を電話で伝えたついでに、カルテの内容を確認してみました。

電話に出られたのは赤ちゃんのお母さんで、とてもお元気そうでした。そしてカルテの内容の通り、体外受精は3回だったそうです。

3回の体外受精でも子宝に恵まれなかったのですが、その後鍼灸治療とご自身での自宅での灸治療を行うことにより、自然に妊娠されました。

この方の治療の時で印象があるのは、仕事で疲れたご主人もたびたび一緒に鍼灸治療を受けていたことでした。
ご夫婦ともども鍼灸治療に理解があったので、こういったことも良い結果に結びついたものと考えています。

当院での不妊治療は、体外受精まで行われたケースの場合では、その後も鍼灸治療で体調を整えて体外受精での不妊治療を行っていくのが普通です。

高度生殖医療が普通に行われている現在では、鍼灸はアシスタント的な役割を担う場面が多くなってきているように感じますが、これも穏やかに効果のある鍼灸治療の性格によるものなのでしょう。

このケースの場合は4度目の体外受精での成功を目指しての治療中であって、基礎体温や体調が良好になったため排卵チェッカーを使ってタイミングを行ったところ、ご懐妊されたものでした。

このケースは大変珍しいとは思いますが、大変心に残る症例ですのでご本人様に了解を得て記事を書かせて頂きました。またいただいた写真葉書についてもご快諾頂きましたので、待合い室にて掲示させて頂きました。

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不妊治療は患者さんやご家族もふくめ、期間も長くなるし、治療費は鍼灸も含め健保の使えないものばかりで経済的にも大変なものばかりです。

当院のホームページやブログでも、なるべく真実を書いていこうと思いながらも、良いことしか書かれていない事実に気が付きます。

先の見えない不安などが多いこともあるのでしょう。治療を断念されてしまう方も多いのが現実です。
そのような事実を真摯に受け止め、今後はよりいっそう見識を深め、学術を磨いていきたいと思います。