福島県白河市の鍼灸院、日常の鍼灸治療の診療日記や、学会参加記、趣味の日記
23年1月より治療を行っている多発性円形脱毛症の症例について、3ヶ月30回治療を行い、大変良好な経過を得られていますので第二報として紹介致します。
左から
(初診時 平成23年1月12日)
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(第30回時 平成23年4月20日)
後方から
(初診時 平成23年1月12日)
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(第30回時 平成23年4月20日)
右から
(初診時 平成23年1月12日)
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(第30回時 平成23年4月20日)
今年1月12日よりボランティアの方に協力して頂いて臨床研究している症例を紹介します。
・症例 44歳 男性
・発症 平成22年8月(脱毛歴5ヶ月)
頭部に点々とできた五百円玉硬貨大の脱毛が頭部全域に広がり、当院初診時には脱毛面積はおよそ頭部の40%程度に広がっていました。
治療は週に2〜3回行い、治療後28日目(治療12回)の経過を紹介します。
(初診時 平成23年1月12日)
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(治療12回時 平成23年2月8日)
(初診時 平成23年1月12日)
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(治療12回時 平成23年2月8日
脱毛の形状からすると全頭型や汎発性にならぶ悪性度の高い蛇行状脱毛症にも思えますが、資料が少なく判断はできませんでした。また患者さんも医師からの詳しい説明がなかったと言うことで、詳しい分類は不明でした。もしかしたら脱毛範囲の広い多発性円形脱毛なのかも知れません。
(脱毛面積が50%以上あった場合の成人の回復率はわずか3.7%とも言われています)
脱毛範囲からすると放置していての完全な自然治癒は難しい症例だと思われました。
詳しくは省きますが、実際にこの患者さんは専門医での治療も行われていたそうですが、効果は芳しくなく、当院での鍼灸治療を希望されて来院されました。
この経過からすれば数ヶ月で満足な効果を持って治療を終了できると考えています。
この患者さんでの治療を一言で紹介すれば、『誰にでもできる、誰でも追試して効果を確認できる』治療法です。
この患者さんに協力して頂いての治療法、詳しい経過はは、来年度三重県四日市市で開催される全日本鍼灸学会で発表したいと考えています。
今年6月に茨城県つくば市で開催される第60回全日本鍼灸学会では別の重症な円形脱毛症の症例を演題登録しました。(審査が通れば、発表の機会を与えて頂けます)
人に教えられるまで知りませんでしたが、2010年度版の日本皮膚科学会の円形脱毛症診療ガイドラインに、残念ながら鍼灸の推奨度がDランクで、『行うべきではない』と記載されています。
さらに残念ながら、『医学的な評価をするには未だあたらない』ということで、およそ17年前に私が某医学雑誌に投稿した記事が日本皮膚科学会の参考文献として採用されていました。
http://www.dermatol.or.jp/medical/guideline/pdf/120091841j.pdf
(18ページ、CQ20のところ)
円形脱毛症は様々なタイプがあり、悪性度が高い汎発性脱毛症であっても鍼灸が効果のあるところは先の記事にも写真付きで書いてあるとおりです。
鍼灸がこの疾患には非常に効果があることは私は確信を持っていますので、今後は正式に学会などで報告して行きたいと思っています。