福島県白河市の鍼灸院、日常の鍼灸治療の診療日記や、学会参加記、趣味の日記
第3部「開業鍼灸院経営講座 不適応疾患の除外」
講師:赤門鍼灸柔整専門学校講師
福島県鍼灸師会会長 安斎 昌弘先生
我が鍼灸師会の会長である安斎先生のご講演です。
経営=金儲け的な発想があって、公の場ではどちらかと言えば伏せがちになるテーマだと思います。
地域の方々に愛され、多くの患者さんに慕われる鍼灸院はきっと将来にわたって存続し続ける義務があるでしょう。
その先生が引退したら、高齢で跡継ぎもなく廃業したら、困るのは地域の方々だからだと思うからです。
生業としてだけではなく、なにかしら奉仕の心をもちながら職業をずっと続けたいと思うのであれば、食うに困らず、嫡子にこだわらず弟子なども跡を継ぎたいと思わせる生き方をすることだと思います。
この職業は人様の命を預かる仕事ですから、伝統の治療法を学びつつ、最新の医療情報も勉強しなくてはならないでしょう。
こうした知識の再生産は時間もかかるし、お金もかかります。
今日売って明日逃げるような怪しい健康器具や、一時流行りのサプリメントではない、臨床35年を迎えた安斎先生から臨床の神髄、心に残る患者さんについてお話し頂きます。
鍼灸師としての毎日や将来に不安や疑問を感じる先生や、職業としての鍼灸師を深く知りたい学生さんはぜひご拝聴ください。
以上、3分割で12月14日(日)開催の冬季学術講習会の内容を紹介いたしました。
時期的に期末考査と重なる時期だと思いますが特に学生の皆さんのご参加を期待しています。
第2部 『開業鍼灸院における安全・危機管理』
講師:社団法人 福島県鍼灸師会(副会長兼務)
総務部長 中沢 良平先生
さまざまな流派や治療法があって、それを実践する先生方と交流し、有益な情報を交換出来るのが鍼灸師会の良いところでしょうか。
治療法は星の数ほどあっても、基礎医学や衛生などには我流はありません。
鍼灸治療は安全である、副作用がない、と一般的に認識されていますが、それは日頃からの臨床家一人一人にその意識があってのものです。
いかに安全な鍼灸治療を県民のみなさんに提供するか、また安心して治療を受けて頂くか、について我が鍼灸師会の中沢副会長にご講演をして頂きます。
ここで書くべきか躊躇しますが、たとえば背部や胸部に【安全深度以上に】刺鍼して肺までハリが達してしまい、呼吸困難を引き起こし場合によっては生命にまで危険が及ぶ気胸というのがあります。
鍼灸師会の中央の会議に出席すると、毎年けっこうな数のこの事故の話を聞かされます。
恐ろしいことに、この事故を起こす鍼灸師は過去にも起こした事例があるケースが多く、偶発的に起こる以上に臨床家の危険認識が以上に低い事を強く思わせるものです。
私は2代目の鍼灸師で、親の代からは50年、私が引き継いでから10年(私の臨床歴は23年です)ですが、当院ではこの気胸を起こしたことはありません。
しかし未来永劫、この気胸を起こさないかと言えば、その可能性はゼロではないでしょう。
ですから常に危機管理については前向きに勉強したいと思っています。
もちろん中沢先生のお話では気胸以外の内容もお話し頂きます。
開業されている先生、また開業を目指す先生、学生の皆さんは必見だと思います。
私が学術部長をつとめている県の鍼灸師会では、今年度より(財)東洋療法研修試験財団の生涯研修制度への参加を毎年行うことになったことは、すでに以前のブログでも書いたとおりです。
毎年、師走にもなるとどこの団体でも講習会などの研究会は行わないような空気を感じます。
それでなくとも忙しくなる身の振り方に戸惑うことが多く、勉強どころではないのでしょう。
さていよいよ11月も終わり、今年も一ヶ月を残すところとなります。
所属する鍼灸師会では、前記財団認定の単位の関係から、この12月も講習会を開催致します。
【福島県鍼灸師会・冬季学術講習会】
http://fukushima.harikyu.or.jp/blog/archives/12.html
もちろん、私も参加致します。
(ちゃらちゃらバイクで遊んでばかりではなく、勉強する時は勉強しておりますので、、当院の患者様においてはご安心して治療をお受けくださいませ・爆)
さてこの講習会は、
演題:「腰部脊柱管狭窄症について」
講師:福島県立医科大学 整形外科学講座
教授 紺野 慎一 先生
演題:「開業鍼灸院における安全・危機管理」
講師:社団法人 福島県鍼灸師会(副会長兼務)
総務部長 中沢 良平先生
演題:「開業鍼灸院経営講座 不適応疾患の除外」
講師:赤門鍼灸柔整専門学校
講師 安斎 昌弘先生(県鍼灸師会会長)
以上の三枚看板の講習会です。
その3つの講演について、1記事1つで紹介していきたいと思います。
第1部『脊柱管狭窄症について』
腰部脊柱管狭窄症は、従来であれば『坐骨神経痛』の一言で片づけられていた腰下肢痛の原因疾患として大変多く、たとえば11月29日(土)の当院でも数名が来院しているほど頻度の多い疾患です。
言い換えれば、開業鍼灸師が多く遭遇する疾患の一つなのです。
有名タレントが手術を行った事でも有名な疾患ですが、手術だけではなく保存療法も多くの例では適応するので、もちろん鍼灸の出番は多いと言えます。
講師の紺野先生は鍼灸医学に理解の深い菊地学長の後継者であることから、特に鍼灸の奏功すると思われる保存療法適応の症例や、医療機関受診をすすめる症例の鑑別など大変濃い内容の講演が期待出来ます。
すでに開業している先生は、このご講演を聴いてあらためてご自身の治療されている患者さんを見直されてはいかがでしょうか?
(つづく)