福島県白河市の鍼灸院、日常の鍼灸治療の診療日記や、学会参加記、趣味の日記
焼け野の雉子(きぎす)、夜の鶴という言葉がある。
巣のある野が野火に包まれると、キジは我が身を振り返ることなく子を救おうとする。また鶴は凍えるような星空の下で、ヒナを一生懸命温める。親が子を大切にすることを表した言葉だ。
4月の末頃、とても悲しい出来事があった。
当事者である患者さんからいただいてメールで、先週そのことがわかったのだが、、、。
子に対する愛情とは、子が誕生してからのものではなく、小さな命の灯が母体に宿ったときから生まれるものであると思う。そんな子に対する愛情も慈しみも届かず、不幸な出来事が起きてしまった。
今生の穢れに汚されることなく夭逝していった、小さな命のご冥福を祈ってやまない。
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不幸のまっただ中にあっても、お知らせしてくださったお母様に心から感謝いたします。ご家内の平安が早く訪れることを願ってます。
書くべきかどうか1週間悩みました。しかしこの不幸な出来事を無視して次の文を書くことはとうていできず、抽象的ながら書かせて頂きました。またどうしても見るに耐えず、掲示板の内容も該当部分を削除させて頂きました。大変失礼ながらご了承ください。
だいぶ前の日記で、PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)を克服されてご懐妊された方を2回書いたことがありました。
その(1)、その2 です。
先週の金曜日に、久しぶりに当院にお見えになりました。
今週で7ヶ月になるそうで、出産予定は9月の末とか。
お仕事もふつうにされていますが、『5キロ太った』と言うその方も、下肢に浮腫などはなく、至ってお元気そうでした。
前回治療にいらしたとき(妊娠したのが分かったので治療しませんでしたが)、『この次は5ヶ月以降になったら、安産の治療をしましょうか』と言うことを告げていたので、今日は少し腰痛も感じるので来院した、と言うことでした。
大きくなってきたお腹は、例えると小玉スイカを抱いているような感じ。腰痛もあまりひどくはないが、これからお腹が大きくなると、それにつられて腰椎の前彎も強くなり、だんだんと症状が重くなることもあります。
妊娠中も鍼灸は母胎やお腹の中の胎児にとって安全な治療ですので、2週に一回程度の治療をおすすめしました。また不妊治療中に行っていた三陰交と陰陵泉、または血海のお灸は、週に2回程度で三陰交のみのお灸に切り替えました。
結婚後11年が経っていたが子宝に恵まれず、3月の中頃から通院を始めた37歳の患者さん。
これまで数年の間不妊治療を続けられ、その間、AIHが9回(もしかしたらそれ以上?)、昨年に体外受精による胚移植を行うが、すぐに失敗してしまったそうだ。
お体を拝見してみると、脈はしっかりしている。均整は取れている体格で、色白で柔らかそうな肌ではあるが、へその下・下腹部全体が非常に硬い。
4月に2回目のIVFを行う予定だ、と言うが、このお腹の硬さからするとよい結果が出そうには思えなかった。
下腹部が硬い、というのは骨盤内の臓器が硬くて手に触れる、と言うものではなく、たとえば子宮やまわりの組織に血行の悪い状態があれば、直上の腹筋などに硬さとなって現れるのである。これは当院では婦人科疾患では特に重視している。
また特に下腿に体質的と思われる軽度の浮腫などがあり、まずは骨盤内の血行を良くし、着床しやすいような環境を作るような治療を行うことにした。
治療は週に一回行った。
欠かさず毎週治療を行い、またこの患者さんは自宅でも指導した通り熱心にお灸を行っていた。
4月の終わり頃、2回目のIVFを行った。
鍼灸治療の際に、脈と下腹部の硬さは特に意識してよく診ているのだが、柔らかさと暖かさが出ては来たが、まだ早いかな?と思っていたりした。
卵子は17個採卵したそうで、この中から選りすぐりのものを選んで受精させ母胎に戻したそうだ。
着床が確認されてからは、ずっと服用していたカバサールのほかに、小児用のバファリンが処方された。胎盤に血栓ができたりするとそれによって流産してしまうので、血液の抗凝固作用のある小児用のバファリンが処方されたようである。
胎嚢が確認されると双子であることが分かったそうだ。
流産予防の鍼灸治療は2週に一回で、安定期にはいるまで行うことにした。
現在で8〜9週と言ったところで、すでに悪阻の症状も出ている。
今週の土曜くらいに来院すると思っているが、前回行った悪阻の治療の効果が薄ければ、ずっと休んでいた耳のツボを使ってみようと思っている。