福島県白河市の鍼灸院、日常の鍼灸治療の診療日記や、学会参加記、趣味の日記
精子の数が極端に少なく、妊娠が非常に難しいと言われ、鍼灸を試そうと思って通われている40代男性の話です。
通院は昨年の7月末から、週に一回行ってきました。
『最悪の場合は、精巣から生殖細胞を採取し、精子を作り出して受精させる方法もある』・・・とはこの患者さんから聞かされました。
不妊症も最先端治療になると、その進歩はめざましいものがあります。
AIHやIVFの場合採取した精子を凍結保存しておいて、卵胞の発育具合によって解凍して使用しますが、この患者さんの場合は凍結保存し解凍すると、もともとやっと採取したわずかな精子もすべて死滅してしまったそうです。
つまり数も少ないし、生命力の薄い・質の良くない精子しか出来かなったようです。
大変まじめな患者さんで、週に一回通院し、今年になるとめざましく改善してきました。
一回に採取する精子が大変少ないのですが、凍結しても死滅することはなく、数回精子を採取し、そのたびに凍結保存。まとまった量になったところでAIHを行えるようになりました。
『一回の量が少ないときは、数回採取し、凍結保存して貯めておくことができる』
利息は付かないですが、貯金みたいなものですね。
なるほど、これもまたはじめて聞いたやり方です。
凍結しても死ななくなった精子君、今度は数が増えるといいですね。
現在通院されている方をざっとまとめてみたいと思います。
不妊症(卵巣機能低下、黄体機能低下・不全と思われる不妊症)
・40代女性2名、
・30代女性2名、
(うち1名は初診時、生理不順を訴えて来院した結婚後6ヶ月の女性で、厳密には不妊とは言わないだろうが、基礎体温の高温・低温層の平均化などから排卵もない状態が推測されるため、不妊症と全く同じ治療を開始したため、不妊症のカテゴリーに入れた)
(うち1名はPCOS=多嚢胞性卵巣症候群で婦人科でも治療中)
不妊症(と言うよりは不育症?=習慣性流産、着床障害など)
・30代女性3名、
どの患者さんも、週に1回程度の治療を勧めています。
ただ患者さんによっては、遠方からの通院や仕事の都合で通院の時間が取れない、と言う方もいらっしゃって、実際には月に2回程度しか治療できない方もケースもあります。
一番通院が長い方は、40代の女性で昨年7月より来院しています。(この方について、これ以上書きたいこともあるのですが、本人の了解を得ていないので、ここまでと言うことで)
現在通院されている不妊症の患者さんについて感じたことを書いてみます。
先代の院長(父)は経絡治療を主とした治療を行い、脈診の名人でした。
不妊で通われていた患者さんの脈を診て、『そろそろ(妊娠)かな?』とか、『もしかしたら妊娠しているかも知れないから、婦人科に行って診てもらっては?』などと診療のとき患者さんに言っていたのを覚えています。
実際にその翌週とかにその患者さんが来られて、『先生!赤ちゃんができました』など嬉しそうに報告される場面を幾度か体験しました。
先代の院長曰く『命門(めいもん)の脈が触れるようになると、妊娠しやすくなる』との事でした。
亡き父の跡を継いで一通りの治療ができるようになった今、不妊の患者さんの治療をさせて頂く際、実際に命門の脈を探るわけですが、これがよく分からないのです。
患者さんの左手首の、手首に近い順から寸口・関上・尺中と診所(みどころ)が並び、尺中の沈脈が肘方向に伸びる脈だということですが、よほど私は鈍いのでしょうか?(涙)
微妙な脈状の変化によって取穴(ツボの決定)を変える先代の芸術的な治療に比べ、私の治療は大雑把なものと言えます。(自分で言ってりゃ世話ないですが)
最近不妊で通われている患者さんたちは、当院での治療の際にツボに印を付けて帰って頂き、自宅でお灸を自らやって頂いています。
先代が院長だった頃は、自宅でお灸をするような指導はしていなかったのですが、私の代からは、特に不妊症で治療を行う方には積極的に勧めています。
まじめにお灸を継続されている患者さんからは、BBT(基礎体温表)で低温・高温の2相が綺麗に出てくるようになった、とか、発育卵胞が確認できるようになった、とか、とても良いお知らせを頂くようになりました。
さながら患者さん自らが、私の下手な(汗)治療をカバーしてくれているようです。
そんなわけでバイクじりばかりしていないで、しっかり勉強もしたいと思います。
18年度は、
・第55回全日本鍼灸学会金沢大会(金沢市)
6月16日(金)・17日(土)・18日(日)、
・東北鍼灸学会秋田大会(秋田市)
9月9日(土)、10日(日)
以前、学会で発表したことがあるため、同じく発表歴のある一寸法師ハリ治療院の中沢先生、あけぼの鍼灸院の佐藤先生ともども表彰して頂ける、とのことです。
・第2回日本鍼灸師会全国大会(東京)
10月8日(日)・9日(月・祭)
へ参加したいと思います。
ただし、、金沢と秋田へはバイクで行くかも知れません(笑)