不妊症

卒業

寒かったり、温かくなったりしながらも、今日は風もあまりない穏やかな春の陽気となりました。

すでにいろいろな学校の入学式などがあちこちで開催され手てりますが、当院では今日卒業式を迎えられた妊婦さんがいらっしゃいました。

震災直後に遠いところから福島県内に転居し、当院に不妊治療に通い始めました。

39歳で無事妊娠し、ご出産されるのは40歳の誕生日を迎えてから。

きっと丈夫なお子様をお生みになることと思います。

不妊鍼灸ネットワーク研修会 名古屋

3月31日の日曜日は、楽しみにしていた不妊鍼灸ネットワークの名古屋研修でした。

不妊症治療では日本の先駆けとして広く知られている名古屋の明生鍼灸院。

当院の治療で、子宮内膜改善に関して、卵巣機能の改善に関しての治療では大きな影響を頂いています。

この会に入会して(ちなみに副会長です!)得た情報として上記の2つの手法は非常に大きく、当院でも卵巣機能低下による体外受精での採卵成績低下、また子宮内膜の状態が悪い(質が悪い、薄い)などによる妊娠率(ARTでの成績が悪い)などの患者さんでは非常に良い成績が出てきています。

もちろんこの手法は自然妊娠でも非常に役立つ方法で、すでに当院で実践している方法が間違っていないか?と、実際に治療を体験する非常に大切な目的がありました。



写真は、明生鍼灸院副院長・木津先生から直接手ほどきを受ける、奥から山形市の麗明堂鍼灸院の五十嵐院長と、気仙沼市・潮見治療院の阿部院長北海道
旭川市・ナチュラリー針灸院の浜口院長



午前中の座学により、明生鍼灸院での不妊症治療の基本コンセプトと治療の変遷を学び、午後からは基本治療とお目当ての中膠穴刺鍼法、陰部神経刺鍼法を学びます。

特殊な刺鍼法と刺入後の鍼の操作は、やはり実際に体験しないと会得できませんが、すでに当院で行っている上記2法は間違っておりませんでした。



横浜のせりえ鍼灸室院長の小井土先生からは、妊娠中のトラブルとして腰痛に関して講義していただきました。

福島医大の菊地整形外科教授(現在は医大理事長)が腰痛の大規模疫学調査として行った南会津スタディのデータと比べての内容は非常に興味深く、骨盤輪のゆがみは妊娠初期から起こるそうで、当院でも注意して観察してみたいと思いました。



アキュラ鍼灸院の徐先生からは、BMIによる肥満・普通・痩せ型の分類での鍼灸治療開始から妊娠するまでの期間についての研究発表がありました。

痩せは基礎的なエストロゲンが不足しやすく、そのための排卵障害が起こりやすく、月経の周期異常から不妊の原因になることがあります。

一方、肥満は慢性的なエストロゲンの過剰状態が起きやすく、あたかもピル服用のような排卵障害が起きることも多く、痩せと同様の月経異常から不妊の原因になることは以前から指摘されています。

研究からは、痩せよりも肥満のほうが妊娠までの日数が長いことが分かったそうで、肥満の方はダイエットをするなどが必要なようでした。



今年度の研修会は、24年5月に京都で、9月に東京で、そして今回の名古屋研修で終わりました。



3回すべての研修会に参加しましたので、無事認定証をいただく事が出来ました。
 


アキュラ鍼灸院の徐先生は、3月に新刊を出されました。『はじめての妊活 カラダを温めれば不妊は治る!』

急遽、新刊発表サイン会(笑)となり、サイン入りの本を参加者にプレゼント!となりました。

写真では、気仙沼の阿部先生と、仙台・キュアーズ長町院長の小松先生

山形・麗明堂鍼灸院の五十嵐先生、気仙沼の潮見治療院・阿部先生、仙台のキュアーズ長町の小松先生と、わが東北の鍼灸での不妊症治療の夜明けを作っていきたいと思います。

この本は当院にもありますので、ぜひお手にとってご覧下さい。



研修会後、みなさんで記念撮影!

来月、5月12日には、この研修会が当院で開催されます。

卵子の老化・改善、について

3月3日の日曜日は、もちろん桃の節句。

奇しくもこの日、不妊症に関しての研修会が開催されました。

日本でも屈指の不妊症治療施設である郡山市の乾マタニティクリニックで、培養士業務に携わられている菊地瑛子先生が講師でいらっしゃいました。

鍼灸の方は、体質改善による妊孕性の向上、子宮血流の改善による、自然妊娠から体外受精の際の移植の成功率が上がる可能性など。
また証明はされていませんが、卵巣(血流の改善による)機能の改善・低反応卵巣の改善の可能性などについて、私がお話しさせていただきました。
(たぶん無理に良い方に鍼灸の効果をこじつけた内容だったと思う) 
 
当院では栃木との県境と言うことで、県内外のさまざまな不妊治療施設に通われているかたがいらっしゃいます。
毎月、複数の施設で採卵や胚移植に臨まれる方がいらっしゃいますので、ほぼ毎月数人は上記の乾マタニティクリニックで治療される方もいらっしゃいます。


※平成24年度中に来院した女性不妊患者のうち、31歳以上の体外受精経験者が、当院で治療後24年内に一回目の体外受精=採卵+胚移植、または凍結胚移植を受けた成績)
(クリックで大きくなります)



当院での成績は画像で示した通りですが、ほかの多数の施設よりも乾マタニティクリニックでの妊娠率が非常に高いことを常々感じていました。

排卵誘発法と採卵技術、授精技術、培養技術、移植技術と、おそらくすべてが国内高水準で行われているのでしょうが、講演後の懇親会時などに思い切っていろいろお話しを伺ってみました。

卵子と精子は卵管で出会って受精し、培養されて分割しながら子宮に運ばれてその内膜で着床する。

あまり詳しく書くと菊地先生へご迷惑をおかけしてしまいますが、体外受精においては、培養液の開発・改良にたいへんなご苦労があるようです。

上記クリニックの高い成功率は、培養液の開発をも含め、さまざまな段階でのこうした不断の研究の成果によるものなのでしょう。

体内にあっては、眠っている卵原細胞は13周期を持って排卵しますが、特に最後の3周期あたりで顆粒膜細胞をいう、卵子の栄養供給に関する細胞が厚くなってきて卵子を取り巻きます。

つまりこの時期が卵子のなかに栄養を蓄えられるかどうかが決まります。

鍼灸は、特定の臓器の血行を改善できる可能性を持っています。

この時期に卵巣の血流が改善できると、(体内での)卵子の栄養状態を改善できると思います。

卵子が成長する、受精して分割を繰り返すためには、ミトコンドリアによる栄養の十分な供給が大切です。



ところが高齢になると、ミトコンドリアがもつ独自のDNAも減ってきて、十分なエネルギーを作れなくなるとか、十分なカルシウムを蓄えられなくなった小胞体のせいで、卵子の成長や分割に必要なカルシウムイオンによる激しい振動を起こせなくなることなどが卵子の老化の原因だそうです。



(ニュートン 2012年10月号 ニュートンプレス社)

京都大学の森崇英名誉教授は、『卵子が発育する間に卵子内に蓄積された栄養素・・・これを使って卵子のミトコンドリアが生み出すエネルギーは決定的なものだ・・』と語られておられます。

ほ乳類の卵子を研究している東北大の佐藤英明教授は、『加齢とともに卵胞に伸びる血管が細くなり、十分な栄養が卵子に行かなくなることも、卵子の老化する原因なのかも知れない』と言われています。