不妊症

体外受精に関しての鍼灸の治療間隔

ここ数年、自然妊娠を目指している方よりも、体外受精での成功率を上げたいための治療を望む方が多くいらっしゃいます。

究極の生殖医療、といえど成功率があまり高くないため、少しでも体を良い状態にして、採卵や胚移植に臨みたい、というかたが非常に多いようです。

また、原発事故による放射能問題も少なからず影響があるようで、数年待って放射能問題が落ち着いてから子をもうける、というように若い患者さんより、ある程度治療も進んでいる高齢不妊の方が多く来院されています。


当院の患者さんのうち、体外受精などのART(補助生殖医療)を受けられている施設で多い順は、

1)乾マタニティクリニック様
2)国際医療福祉大学リプロダクションセンター様
3)宇都宮中央クリニック様、同数で加藤レディスクリニック(KLC)様、

となっています。

当院では、一般的な管理(刺激)排卵誘発周期、ホルモン補充周期による移植、KLCのような自然周期採卵・移植、など、様々な患者さんが来院されており、それぞれ通院されている施設の治療の特色に合わせた鍼灸治療を行っています。


・卵質を改善したい場合

採卵後、受精させても分割が遅い、停止する。
何度移植しても成功しない。
35歳以上の女性、または2回以上の移植不成功。

上記の場合は、最低半年間(できれば8ヶ月)以上前から鍼灸治療を開始し、最初の3ヶ月は週に2回〜2週で3回の鍼灸治療が効果的です。

3ヶ月後からは、だんだんと治療間隔を開けて週に一回くらいにします。

なかなか文章では伝えきれないものですから、当院では、

・栄養のたくさん入った良質の胚(胚盤胞)と、

・一見するとフラグメントの少ない良好な胚なのですが、実は栄養の希薄な胚(胚盤胞)

を、特殊な蛍光染色をして撮影した写真2枚を教材にして説明しています。

なぜ何度もグレードの良い胚・受精卵を移植しても妊娠しないのか・・・?

その原因の一つに、着床した胚が、自ら生きづき始めるまでの間、絨毛や胎盤から栄養を貰うまでは自らの栄養で生きていく事になります。

目で見て判断する胚のグレードには胚の栄養状態は分からず、形態や分割時間(速度)だけでは、実際の妊娠に結びつく良好胚かどうか分からない、と言うことになります。

加藤レディスクリニックでは、幹細胞を卵巣に移植して新生血管を作り、卵巣機能を改善する研究を厚生労働省に申請しています。

卵巣内の血行を改善することが、たとえば高齢不妊患者の卵巣機能を改善するとか、卵質を改善することに繋がる示唆になります。

鍼灸では、冷えを改善し、体質を改善することによって卵巣内を含む骨盤内の血行を特に改善します。
それによって卵子に栄養を供給しやすい環境を整えます。


移植に関しての成功率を上げるための治療については、また後日書かせて頂きます。

鍼灸による卵質の改善

体外受精も、特に採卵が数度にも及ぶと、採卵できる数も少なくなったり、採卵後受精させても分割スピードが遅かったり、また途中で止まってしまったり、移植可能な状態に到達するのもごく少数になってしまうケースが良くあるようです。

ここ数年、体外受精を行っても良い結果に恵まれなかった患者さんが『鍼灸で卵のグレードが改善する』と聞き、良く訪れます。

残念ながら鍼灸による効果では、特に40歳前後から上の年齢では採卵できる数が目に見えて増えることはまず期待できません。

これはもともと排卵のために数周期前から少ずつ成長していく卵子の数が少ないからで、この数を多くすることは鍼灸のみならず医学的に無理なのです。

その代わり、採卵前の最低半年以上前から鍼灸を始めると卵子がゼロではない限り、鍼灸の効果は『卵質の改善』として見込めます。

卵子の成長は、排卵する1周期の間に育つのではなく、数十年眠っていたままの原始卵胞(卵母細胞)は約半年前から目覚め、少しずつ成長を始めます。

卵子も一個の細胞ですが血管で栄養を運ばれるのではなく、成長には細胞間の浸透圧によって栄養が卵子へと供給されます。

この時期に骨盤内、特に卵巣や子宮の結構を改善する鍼灸は効果があります。
(子宮や卵巣などの、特定の臓器だけの血行を良くする治療は、西洋医学的にはあまりありません)

卵子の外側の細胞膜は、成長につれて厚く、層数も多くなっていきます。

卵子が周囲から栄養を取り込みやすいこの時期、排卵・採卵前の半年以上前から鍼灸治療を開始すると、栄養状態のよい、質の良い卵が得られやすくなります。

反復して採卵で良い結果が出なかった方の場合、もし鍼灸を試してから採卵に臨む場合は、最低半年間の鍼灸治療をおすすめします。

治療のペースは、2週で3回程度以上が理想です。

FSHとAMHの結果が思わしくない方からもよく相談を受けます。
鍼灸についても関係が深いことですので、このことについては次回に書かせていただきます。

不妊鍼灸ネットワーク研修会・京都

5月13日の日曜に、不妊鍼灸ネットワークの第一回研修会を京都で開催しました。

京都の中村先生、東京のアキュラ鍼灸院・徐先生と温めてきた不妊治療の研究会。
このたび記念すべき第一回の研修会開催となりました。

全日本鍼灸学会や日本生殖医学会などでの発表数などからも、まずこの分野では世界一と誰しもが認める明生鍼灸院の鈴木院長、その片腕の木津先生も仲間として一緒に勉強できる場となりました。

出発は福島空港から。
今日は北海道・旭川からナチュラリー針灸院の浜口先生、気仙沼の潮見治療院の阿部先生、鹿児島の柿内先生が空路でまず大阪入り(浜口先生は便の関係で関空)

ほか、紅一点、山口の山陽小野田市・純はりきゅう院の篠田先生、、東京・アキュラ鍼灸院の徐先生は新幹線で。




福島空港にて。
天気良くフライト日和。
しかし風強いかな?



9時15分発の全日空・アイベックス航空共同運行の飛行機。
そういえば一昨年京都の学会に行ったときもこの飛行機だったなぁ、と。



風があるのでちょっとスリルのある離陸の後、機はしばらく揺れのない水平飛行へ。
強化アクリルガラスを通して、左手に富士山が。

茨城の大子、埼玉・熊谷〜甲府というルートなので、先日のツーリングで通った上空をたどっているようです。



大阪・伊丹空港で阿部先生、柿内先生と落ち合い、迎えに来て頂いた中村先生の運転で会場となるなかむら第二針療所へ。

今回も観光と言えるものは、車窓から見た東寺の五重塔くらいか(涙)



参加者皆さんが揃ったところで、会場隣の小料理屋さんの京料理でランチ。
『私だけ交通費がかからないので』と言いながら、全員分すべて中村先生のオゴリ(笑)美味しかったなぁ。



ランチ後、研修会第一部は、中村先生の不妊治療の実際です。初診の時の問診から診察、治療に至るすべてを見せて頂きました。
今回は大御所の明生鍼灸院の鈴木先生がいらっしゃるので講義前から、だいぶ緊張していたような。。
それでも、ちょっとそこらでは聴けない、とても濃い内容の講義と実技でした。

特筆はエコーで確認しながらの逆子治療でした。
ちょっとしたコツが効果を相当上げる、ということでした。



第二部は私が担当ですが・・・やっぱり緊張します。途中から、こんな事偉そうに話していいのかいな?と自問しつつ、、、な〜んて(汗)



第三部は徐先生。
徐先生はどこへ行っても落ち着いて話され、やはり慣れているなぁ、、と。内容も良い内容ですし。
卵質改善のキャッチコピーには一同納得でした。



研修会後、参加者全員で記念撮影。
群馬の秋森先生は鍼灸師会の総会で参加できなくて残念。そのためにビデオ撮りをちゃ〜んとしました。



文字通り飛んで帰られた浜口先生。。京都にいたのはほんの4時間弱。。阿部先生も家に着くと夜中の12時になるとか。
鈴木先生もすぐに帰宅。
柿内先生も急いで帰り、、残ったのは木津先生、徐先生、と、篠田先生、、私、、当然中村先生。。

京都駅前の和食の店で上記5人でひっそり?と懇親会。
これがまた楽しかったなぁ。。

で、夜9時53分発の福島交通・近鉄共同運行の高速バス・ギャラクシー号で福島に帰ります。



かなりデラックスなバスですが、そこはバス。
懇親会でしこたまアルコール燃料を仕込んだつもりでしたが、爆睡までの道のりは遠く・・・途中でガス欠。
熟睡できることなく、うつらうつらしていたら夜が明けて、会津の朝。

朝焼けに、田植えの終わったばかりの水田がまぶしぃ〜な、と、

須賀川着7時ちょいくらい。
そこから前日置いておいた愛車のハンドルを握り職場へ。

普通はゼロ泊二日なんてないよなぁ。。
健康で体力には絶対の自信がありますが(笑)
さすがにこの日の仕事はきつかったです。

今日ぉのぉ仕事わぁつらかったぁぁぁ〜・・・♪
 By山谷ブルース(笑)

次回は9月、東京で開催です。