診療日記

犬の往診

友人の家の犬の具合が悪く、鍼灸を試してみたい、と相談を受けていました。本日は日曜日、、ですが、天気も良いので朝のうちに往診快速号で様子を見に行きました。

両足の関節炎(人間で言えば膝にあたります)による張れ、また獣医師の診察によると椎間板(腰椎)のヘルニアもあるかもしれない、との話だそうです。

症状は局所だけでは治まらず、痛みのせいか日常の生活も元気がなく、寝転がっていることが多いそうでした。

毎日のように点滴をしているそうですが、いっこうに良くならず、東京の獣医大学病院にも受診したそうです。

詳しい診察や検査をしましたが、膝はその構造上非常に難しいので、手術などは出来ない、と言われたそうです。

私も犬を飼っている身で、飼い犬さんの深刻な状況は理解できます。
しかしながら、獣医師ではない私は直接犬に医療行為を行うことは出来ません。

そんなことから、健康を取り戻す一助になれば、と思い、お灸の仕方を友人に教えて来ました。

 患者のアームちゃん(ボーダー・コリー♀)と飼い主のUさん。犬に問診はできないので、飼い主から聞き出した症状などから、効果のありそうなツボを探して印を付けます。
 写真は、愛犬アームちゃんにお灸を据える飼い主のUさん。



 ツボの皮膚の体毛を剃って味噌を塗り、麦の粒くらいの大きさのお灸を行います。
 熱いのでは?と思うでしょうが、味噌が緩衝材の役割をするのでそれほど熱くはなく、柔らかい熱がじんわりと伝わるはずです。
 人間の場合も、関節炎がある場合は周囲の筋肉が痛みのストレスのせいで血行不良となり、硬くなることが多いようです。アームちゃんの場合も関節の周囲を押すと痛みがあるようですので、まずは下肢の血行を良くすることを目的としてツボを取ってみました。



往診快速号の第一号の患者さんは、ワンちゃんとなりました。

夜泣きの小児鍼

昨日はやや遠いところから夜泣きを訴えて1歳少々の女の子が母親とまだ若いお婆ちゃんに連れられて来院しました。

夜泣きは昨年の11月ぐらいから。
夜寝ていると泣き出して、大騒ぎしてしまい、ご夫婦揃って共稼ぎなので安眠できなくてとても辛い、とのことでした。

夜泣きは脳や神経が急に発達する1歳前後から多くなってきます。
小児神経症とも言われることがありますが、大人の神経症とは少々違うところもあります。

感受性の高くなって来た頃に発症するこの症状は、ご両親にとっては大変心配する事が多いようです。

しかしながら、脳や神経の発達が著しいお子さまに多く、視覚や聴覚、味覚や触覚などによって脳に入り込んだ刺激を発達中の脳が上手に処理できなくなって起こる一時的な症状ですので、心配はご無用です。

先代の院長時代から小児鍼治療を受けたお子さまの成長を成人になるまで見てきたケースも多数ありますが、こういった夜泣きや疳の虫を起こす乳幼児の場合、成長に従って利発なお子様に育つことが多いように感じています。

あまり近くない所からの通院ですので、治療は週に一回。夜泣きは、上記のような事からあまり心配することもなく、むしろ赤飯を炊いて歓迎するべきくらいものだ(大げさですが)、、と説明しました。

また昼間はお婆ちゃんが子守をされているとのことで、代用治療として自宅でできるティスプーンを使ったスキンタッチを指導させて頂きました。

ローラー鍼を使って皮膚を擦過する小児鍼は非常に刺激も弱く、赤ちゃんにとっては心地の良いものだと思います。この弱い刺激は赤ちゃんストレスを緩和し、神経のいらつきを解消する働きがあります。

カーテンで仕切られた隣のベッドで治療や病状の説明を聞いていた腰下肢痛で常連のSさん、、、、赤ちゃんとお母さん、お婆ちゃんの親子三代が帰られてからぼそっと一言・・・。

そうですか、夜泣きは頭が良くなるおしるしなんですね・・・(しばし沈黙)・・・そういえばうちの息子、夜泣きしない、手のかからない赤ん坊だったなぁ・・・納得しました・・・
ご謙遜だと思いますが(汗)、いつもちらっと面白いお話しをされて雰囲気を和らげる治療室のムードメーカーさんです。

福島県鍼灸師会会員の先生方は、スキンタッチ指導員講習会を受講された先生も多く、夜泣きや疳の虫でお悩みの保護者の方はぜひご相談ください。もちろん、私も受講しています。
(左のメニューの『治療院紹介』をご参照ください)

骨盤位(逆子・さかご)の鍼灸

だいぶ穴を空けた日記ですが、たまには仕事の話など書いてみたいと思います(このあと趣味話を書くためのクッションみたいなものですが・・・)

今週は(今となれば先週ですが)、35週、33週目の骨盤位(逆子・さかご)の妊婦さんがいらっしゃいました。
逆子には鍼灸は良い効果がありますが、30週を越えると治る率もだいぶ落ちます。それでも35週の方は1回で、33週の方は2回の治療で効果があったようです。

35週の方は今週の水曜に検診の予定で、そのときに超音波の画像で確認するそうですが、『どうも治ったようだ』と治療後にメールで教えてくださいました。

33週の方は、金曜の検診で治っているのが確認されたそうでした。

今まで治る骨盤位の患者さんも、また治らなかった骨盤位の患者さんも多数みてきましたが、印象的には仰向けに寝たときにみる腹部の緊張の具合が強い患者さんは改善しないような印象があります。

おそらく、出産近くになり胎児が成長してくると、胎動などで動くスペースが少なく、窮屈になるからではないかと考えています。