診療日記

治癒力を発揮させる条件のひとつ

昨日は秋晴れの素晴らしい一日でした。

とは言え、昨日は朝から夕方近くまで他県に行っていたので(仕事や勉強会ではありません)その土地、新潟県での話しです。

帰宅して聞いた家人の話しによると、曇りがちの肌寒い一日であったようです。

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さて、つい最近、突発性難聴でお悩みの方から、『鍼灸治療、特に聴覚神経を刺激するような“深く刺入するハリ”は安全なのか?』とのご質問が当院の掲示板にありました。

回答はメールでもお送り致しましたが、大変ていねいなお礼の返信を頂きました。
鍼灸治療を受けようとされる方の素直な心理が分かり、こちらこそ感謝致します。(→ご本人様に)

鍼灸治療はとても安全性の高い治療ですが、不安を抱えながらの治療では良い効果は生まれにくいと考えます。

病気や治療に関してよく説明し、患者さんの不安をすべて取り去れるように努力することも、鍼灸の効果を上げる方法だと思いました。

今週からは、患者さんへの病気や治療についての説明を徹底しようと思います。

心療内科領域の鍼灸

今日もだいぶ残暑が厳しく、外に昼食を摂りに行ったら汗だくで帰ってきました。

今日は帰りに往診があるのですが、例の平屋の隠居に住む寒がりのおばあさん。。今から腹をくくっております。

鍼灸というと、まず腰痛や肩こりと言った運動器疾患の患者さんが多くいらっしゃるイメージがあると思います。
事実、腰痛を訴えていらっしゃる患者さんは圧倒的に多く、ついで肩こりや膝痛、まためまいや頭痛など、そういった患者さんが多いようです。

腰痛は、ほとんどの方が加齢をベースにした変形性腰椎症や腰椎すべり症、また一定の距離を歩くことによって症状が発現する(間歇性跛行)脊柱管狭窄症などが多いようです。

ついで多い肩こり周辺の疾患には、肩こりのよる頭痛(緊張性頭痛)や、腕のシビレ感や痛みを主訴とする頸椎症(頚椎性神経根症)や、胸郭出口症候群を含む頚肩腕症候群(実際は原因不明なものを頚肩腕症候群といいます)などの患者さんがよくいらっしゃいます。

肩こりは実に多彩な症状を伴うことも多く、高齢にあってはめまいやふらつき、また全年齢的には、頭痛や吐き気、歯肉の腫れ・痛み、などを伴うことがあります。

うつ病やパニック障害など、神経内科領域の病気で鍼灸に来院する患者さんも多くいらっしゃいますが、その多くに首の肩の凝りなどを良く見つけます。

肩こりとこれらの神経内科領域の病気には、何らかの関係があるものと考えますが、当院では特に首の凝りなどを見つけながら鍼灸を行っており、病院での治療と並行して行い数ヶ月くらい経つと、見違えるほど改善する場合があります。

専門医ではありませんから詳細には言えませんが、神経内科的な疾患の多くは患者さん自身の気質的な性格などがベースになり、そこに仕事や生活上などのストレスが入り込み、症状が発生します。

肩こりも、肩が凝るような肉体的負担(細かい仕事など)だけで肩が凝るわけでもなく、患者さんのお話を伺っていると、たとえば対人的なストレスを常に感じているとか、うつ病やパニック障害と言った疾患と紙一重で耐えていらっしゃる様子を窺い知ることがあります。

うつ病やパニック障害になってしまったら、鍼灸治療も一つの治療としておすすめいたします。

往診日記(1)

残暑キビシイ一日でした。

今日は盆明けとあって午前中は大忙し。
予約を頂いていた患者さんにはご迷惑をおかけいたしました。

朝一番は、毎度バイクで通院されている下肢痛の患者さん。

2番手は人呼んで『不死身の魚屋さん』。脳出血・半身不随・復活・魚屋さん営業再開・富士山登頂・スイス、マッターホルン登山(麓まで)と、この魚屋さんについてはいろいろとドラマがあるので、次の機会にでも書いてみたいと思います。

午後からは通常通りのんびりと診療しました。

夕方からは、金曜恒例の往診2軒。
このうち1軒は、脳梗塞後遺症で半身不随のおばあさん。もう一軒は心臓ペースメーカー装着で、外出もままならない膝痛・腰痛のおばあさん。

一般的に、高齢の方、特に女性は冷えを異常に嫌います。
往診先の2軒のおばあさんも冷えを嫌います。

1軒目は平屋の隠居に住んでいる方で、夕方に往診に行っても室内は大変な暑さ。それでも『暑い』とは一言も漏らさず、パジャマの上に綿入れはんてんなどを羽織っています。

この暑さですから、治療する私も身の危険を感じながら治療しています。

2軒目。
この往診先の患者さんは、山奥深い所に住んでいらっしゃいます。地理的には、旧大信村、羽鳥湖のすぐ下と言ったところ。

不整脈があって、先代の当院院長が指摘し、専門医でペースメーカーを装着したという患者さんです。

住んでいらっしゃるところは山奥深く、家の前には渓流が流れ、この時期でも暑くはないのですが、別な意味で身の危険を感じます。

患者さんの家に着きます。
車のエンジンを切り、降ります。
エンジンを切ったとたんに、渓流のせせらぎと風の音。漆黒の闇と静寂が訪れます。

家の玄関前に繋がれた犬は、毎週往診しているせいでおなじみさんになっているので、いつもは尻尾を振りますが・・・

漆黒の虚空をにらみながら

犬『ガルルルルルル・・・

    と唸ってます。

不審に思いながらも、玄関をくぐり、患者さんであるおばあさんに訊きます。

私『おかしいね。いつもならおとなしいのに、今日は唸っているよ。

患者さん『ここ数日、トウモロコシ畑と田んぼ(餅米)が熊に荒らされていて、すぐ近くに熊がいるようだ

私『・・・(汗)

患者さん『先生も、帰りに襲われないように気を付けた方が良いよ

この患者さんの家のまわりは自然が豊かで、

熊に畑を荒らされた

この前は猿が日向ぼっこしていた

カモシカが田んぼの畦で昼寝していた

この先のジャガイモ畑が、イノシシにやられて全滅した

こんな話を毎回のように聞かされてます。

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田舎の往診も命がけです。