福島県白河市の鍼灸院、日常の鍼灸治療の診療日記や、学会参加記、趣味の日記
今年も11月を迎え、毎年恒例の全日本鍼灸学会東北支部福島地区の研修会の時期となりました。
開会での武藤永治支部長のごあいさつ。
理療一筋に生きられる武藤先生のブログは読み物としても資料としても大変勉強になります。
県内に三校ある鍼灸学校・養成施設の学術交流を目的としたこの日の研修会では、
・福島県立盲学校専攻科
・福島医療専門学校鍼灸科
・国際メディカルテクノロジー専門学校鍼灸師科
以上の三校の学生さんによる臨床研究が発表されました。
学生のうちからこのような発表の経験を踏まれ、また聴講する機会に触れられることは大変貴重な事と思います。
学校を卒業され、実社会で臨床に携わると、このような研修の場から遠ざかってしまう先生も実際はとても多いのです。
東北支部指定B講座として、
国際メディカルテクノロジー専門学校で教鞭を執っておられる工藤征一郎先生による、
サイバネティックス再考
フィードバック機構から眺める東洋医学
日本鍼灸理療専門学校教諭 木戸正雄先生による2題、
脈診の基礎
変動経絡検索法
以上の講演がありました。
<工藤先生のご講演>
お話し頂いた内容はダイジェストとしては大変わかりやすく、興味を持って勉強してみようと思わせるに十分な内容でした。数学とも哲学ともとれる理論展開は、講師の先生のもつ相当高い知性が感じられました。
(理論は超ドライですが、スライドにサイボーグなんとかのキャラを使うあたり・・・また多くの学生に慕われるという事実・・・また難解な講演も講師自身が楽しまれて話している様子も伺われ、すばらしい人間味が感じられました)
人間は様々な体の調整機能によって営まれていて、
その仕組みは実に複雑で精妙・膨大なものなのです。
それゆえこの理論について1時間の講演時間というのは大変短く、次回に機会があればぜひ脳や各器官などの働きや体の機能についてお話しを聴かせて頂きたいと思いました。
<木戸先生のご講演>
木戸正雄先生の講演は、ややもすると敬遠しがちな脈診に関する2題でした。
私も脈診は必ず使いますが、いまだにわからないことばかりです。祖脈はともかく六部定位脈診となると、診る方の体調もすぐれないと比較に苦心するときもあり・・・修行が足りないのでしょうが(汗)、なかなか苦労します。
相克の脈診は素直に左右を比べればいいと・・・相生はやはり親・子の2部位を比べるべし、というのは目からウロコでした。
6部位をいっぺんに比べるからわかりにくいのであり、相生・相克とも2部位比較であれば、なかなか容易に脈を診られるようです。
木戸先生も講演中に駄洒落を飛ばす・・・人間味のある先生でした。話す方も楽しまれ、聴く方も勉強になってしかも楽しい、そんな貴重な3講演でした。
7月12日(日)は福島駅前のコラッセふくしまで開催された所属している学会の研修会に参加しました。
貴重な休日ですが、これまた貴重なお話しを聞くことのできるまたとないチャンスですので、朝から高速を飛ばして福島に向かいます。
会場は日曜返上の開業されている先生や学生さん。また教職員の先生方でほぼ満員でした。
この日は司会係をしていたので、司会席からの写真となります。
鍼灸師なら誰でも存じている小川卓良先生のご講演。
『鍼灸医学における古典と現代の対話』と言う演題。
鍼灸は非科学的か・・・じゃぁ西洋医学は科学的なのか・・・?と切り出し、デカルト哲学から成り立つ普遍的であり合理的な(理性的)近代科学とパスカル哲学を比べて論じる、大変貴重な講演でした。
福島医大の菊地学長も、医療とはサイエンス(EBM)とアート(NBM)である、、と良く語っておられます。
(私たち)開業鍼灸師は、いたずらに鍼灸医学に(デカルト式近代)科学を求めず、職人としての技術・学識を磨き、もっと原点を見直すべきなのではないか、と自戒しました。
ディポーサブル鍼でおなじみ、セイリン株式会社 商品開発部課長の久保田 憲先生。
演題は『鍼の安全性』。
使い捨て鍼の先駆的なメーカーさんですが、トップブランドの意地?のような、徹底した安全管理には感心しました。特に有事の際には過去4年?に遡って検証できるよう、同一ロットの製品をすべての種類保管しているとか・・・。
福島県鍼灸按マッサージ師会 前会長(現在相談役)の佐藤 隆先生・演題は『腰痛に対する鍼治療〜ぎっくり腰こそ我が治療院の生命〜』
日常的に遭遇するギックリ腰(急性腰痛)への、佐藤先生の開業時からの苦労した道のりの話と、円熟の域に達した実技の披露でした。
これこそ科学よりも、むしろ経験医学としての鍼灸を表現した講演だと感じました。
鍼灸を愛し続けた大先輩の治療・・・同じく視力障害を持っても多くの患者さんに慕われた父の姿を思い出した一こまでした。
最後の講演は、東京有明大学保健医療学部鍼灸学科教授の坂井友実先生。
演題は『頚肩腕の痛みしびれ』でした。
主に頚椎症性神経根症(頚椎症)の治療について、神経根付近の安全な刺鍼について実技を交えてご講演いただきました。
新しい年度もスタートし、今年も所属している鍼灸師会では東洋療法研修試験財団の生涯研修参加を含み、定期講習会を開催致します。
光栄なことに、最初の講習会では不妊症について講師を務めさせて頂きました。
http://fukushima.harikyu.or.jp/blog/archives/20.html
作ったスライドが多すぎで、途中からスピードを上げてしまいました・・・
患者さんとの会話は大切にしたいと思っていますが、もともと大勢の人前で話すことは苦手で、やはり慣れが必要なようです。ちょっと反省してます。