その他

我が名はムックなり

押忍! 自己紹介させていただきます!

私、三瓶先生の自宅で留守番兼用心棒をしておりますムックと申します。以後お見知りおきを!押忍!

先生は一日の仕事を終えて帰ってくると、コタツに入りながら焼酎のロックなんかを飲んで、すぐ酔っぱらって寝てしまいます。

今日は先生がたまたま愛用のノートパソコンの電源を入れたまま酔っぱらって寝てしまいましたので、不肖、用心棒の私がパソコンをお借りしてブログを更新したいと思います。押忍!

 私、生まれついてからのみなし子で、西郷村の村道で食うや食わずでさまよっていたところを、先生の往診先のOさん宅に見つけられて命拾いをしました。

Oさんという方は、狩猟をされていて、家には数匹の大型犬がおりました。またOさん宅には犬族のほかに猫も数匹いらっしゃって、さながら動物園の様相を呈しておりました。
飢え死にしそうな私を拾ってくださり、家につれてきたはいいいが、私の居場所があろうはずもありません。


優しいOさんご夫婦は、その家のお婆ちゃんの往診に出入りしていた三瓶先生に私を託したのでありました。

そんな縁で、三瓶先生宅で暮らすようになりました。押忍!

B級グルメを自称する先生の家で生活していますと、食うや食わずでスレンダーだった私も、高カロリー・高タンパク、高炭水化物食でだんだんグラマーになって来ております(汗)

今朝の朝ご飯のメニューは、天栄村産コシヒカリ新米の銀シャリと、なんと先生が患者さんからいただいた烏骨鶏の卵焼きで、これは先生の朝ご飯と共通メニューでした。
先生曰く『うまいから食ってみろ』とのことでした。

ある時などは鉄火丼を夕食に出されたときがありまして、これには正直参りました。
たまには犬用にバランスのとれたドッグフードを食べたいと思っております。

今後も隙を見つけて更新させていただきますので、よろしくお願いいたします。押忍!

差し替え授業

私は鍼灸師のを父に持つ2代目の鍼灸師だが、資格を取るために通っていた専門学校の授業は、とても平凡で退屈な毎日だった。

特に考えることもなく、親の家業を継ぐために入学した学校の授業はとても退屈だった。
とりあえず、毎日学校へ行き、板書をノートに写し、試験前には一夜漬けを繰り返す怠惰な学生生活だった。

そんな学生だったから、成績も芳しいはずもなく、進級はやっとこすっとこで、赤点を取って補講を受けた教科もあった。

学校の授業は朝9時から午後の1時過ぎまで、正味90分の授業が2回だけ。勉強と言うよりは退屈しのぎのために午後から鍼灸接骨院に研修兼アルバイトに行くようになった。

研修先の鍼灸接骨院では、臨床の実地勉強と言うよりは、低周波治療器やローリング、干渉波などの機械の患者へのセットなどばかりしていた。

先生の治療などを見ていても、患者が来れば特に診察もせずに数台の機械にかける流れ作業の指示をくれるだけで、今思えば臨床といえる勉強は全くしていなかった。

とりあえず規定の単位を取得し、無事に学校を卒業し、資格試験にも合格して晴れて鍼灸師となって田舎に帰ってきた。

帰郷してからは鍼灸師である父親について学んだ。
腰痛や神経痛、五十肩と言ったありふれた病気だけではなく、胃潰瘍や肝臓病、糖尿病や子宮筋腫など、内科・婦人科、ありとあらゆる病気を患った患者が治療に来る実際の鍼灸院の毎日に、驚きながらも勉強した。

そんな、私自身のとてもほめられるものでもないような学生生活と、卒業して鍼灸師の免許を取ってからが本当の勉強の始まりであると、授業で話した。

授業では、“誤診”について、自分の少々の経験も話した。

誤診には、
・見逃しの誤診
・勇み足の誤診
の2つがあり、どちらも患者の病態を正確に見抜けなかったと言う点では同じではあるが、見逃しの誤診だけはせぬよう、勇み足の誤診をおそれず、患者に向かい合うべき、と話した。

++++++++++++++++++++
見逃しの誤診と勇み足の誤診
 たとえば腰痛で、中には内臓性腰痛、特にガンなどの悪性腫瘍によるものも鍼灸院には来院する。そういった腰痛をろくな問診や診察もせずに、鍼灸の効果がある腰痛であると決めつけること。→見逃しの誤診

 自発痛や夜間痛、症状に増悪傾向がある場合や、胃痛や吐き気、下血、咳などの臓器特有の症状が随伴していないか、急激な体重の変化(多くは体重減)、発熱などの全身症状がないか、外科手術のしたことはないか、などを詳細に診ること。

 もし少しでもおかしい、疑わしい症状があれば、必要な専門医などに精査をお願いすべきである。結局、異常なしとなれば回り道をしたことになるが、患者も術者も安心して鍼灸治療を続けることができる。→勇み足の誤診
++++++++++++++++++++


この学校へ非常勤の講師として赴いて3年が経った。

私が通っていた頃とは授業の密度もかなり濃く、取得する単位もかなり多いが、ぜひがんばって全員そろって『先生』になって欲しいものだ。
そして、臨床について対等な立場で話しをしてみたい。

今日も授業日

木曜の今日も、午後からは某専門学校鍼灸科で臨床実習の授業を行ってきた。

先週は『下肢痛を伴わない腰痛』だったが、今日は『上肢痛を伴わない肩こり』について、普段自分が行っている診察法と治療法を話してきた。

腰痛についても、『下肢痛を伴わない・・・』というのも片手落ちだと思うが、授業の単位が決められている以上それに即して行わなければならない。

通常、単なる腰痛と、たとえば座骨神経痛や脊柱管狭窄症などはセットにしてたっぷり時間をとらねば学生に教えることは難しいと思う。
単なる肩こりについても、実は頸椎の異常や胸郭出口症候群などの整形外科的疾患の一症状で起こる場合が珍しくない。
また腰痛や肩こりといった『ありふれた症状』のなかに、見過ごしはいけない重大な疾患が隠れている場合がある。

前回の腰痛の授業の時は、

・単なる腰痛でも必ず腹診をせよ、外科手術の跡があったら『ガンの手術』であったと疑え。5年生存率は統計で使うための単位であって、『5年経てば逃げ切れた』訳ではない。10年経っても再発するガンはあるし、そもそもガンになりやすい体質はあるものだ。1度罹患した患者は、もう一度ガンになることはよくあることだ。

・一番楽な姿勢でいれば痛まないのが鍼灸の効果のある腰痛である。自発痛があれば内科的な疾患(胃潰瘍など、予後良好な疾患であっても)を、また夜間に目が覚めるような、そしてだんだんと憎悪する痛みがあれば、それは鍼灸など悠長に行うべきではなく、一刻も早く医療機関での精査をすすめるべきである。

そんなことを話した。


今日の授業の題目の『肩こり』では、

・自発痛や夜間痛を訴える場合は、内科的疾患によるものや場合によってはガンなどを疑うべし。

・高齢者などでは、首の回旋などの運動によって引き起こされる『めまい』や『ふらつき』などを伴う肩こりもある。こういった症状を持つ患者は、多くは椎骨動脈や総頸動脈の血流に異常がある場合が考えられ、体動により一過性脳虚血が起きているおそれがある。だんだんと脳梗塞などの重大な疾患に結びつくことも多いので、注意が必要である。

そんなことを話してきた。



患者さんとの出会いは、いつしか別れへとつながる。

健康になって鍼灸院を訪れなくなるのであれば、それは大変喜ばしい物だが、もしかしたら効果のない自分の技術に愛想を尽かしてほかの治療院や治療法を選んで離れていったのかもしれない。

しかしもっとも避けなければいけないことは、隠れた重大な疾患を見過ごし、鍼灸以外の有効な治療を受けられるタイミングを奪ってしまい、患者を死に至らしめてしまうことだ。

こんな偉そうなことを言っている自分も、隠された重大な疾患を見過ごしてしまったことがあった。
このことは『こういうこともあるので、よく勉強してほしい』と来週の授業で取り上げようと思う。

ふとした縁で患者さんと『先生』という関係になるが、鍼灸は胎児の時から生命の幕を閉じるまで効果のある医療だと思っている。

ぜひ出会った患者さんとは、末永くおつきあいさせていただきたいと思う。