No.555の記事

男性不妊の行く末

1月18日・日曜日の夜9時からのNHKスペシャル『女と男、Y染色体が消える』をごらんになられた方も多いと思います。

番組のweb
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090118.html

一婦一夫制が長かったため、精子の競争力が弱まり、精子の総数や運動率・奇形率が高い男性が急増した、と番組で放映されました。

出産児の14人に1人は何らかの補助生殖治療(不妊治療)を受けているデンマークの成人男子の精子の状態と、日本のそれはほぼ状況が一緒で、成人男子の2割近くが男性不妊になっておかしくない精子数であるということでした。
またその予備軍を含めると、実に3割超の男性に異常があるとのことでした。

精子の競争力のない個体は本来自然から淘汰されるはずです。
生殖に結婚を伴う人間という生き物では一夫一婦制が当然となり、故に強者だけではなく弱者でも子孫を残せるようになったことが男性不妊の原因の一つと言うことでした。


これとは別の原因になりますが(こっちの方が主なテーマでしたが)、受精時にすでに男女の制を決定する性染色体で、Y染色体がだんだんと小さくなってきていて、およそ500万年後にはなくなるかも知れない,と言う問題について放映されました。

人間は46個の染色体を持っていて、常染色体が44個に、性染色体が2個となっています。
性染色体にはX染色体とY染色体があり、正常な卵子は常に22個の常染色体と1個のX染色体を持っています


また正常な精子は、22個の常染色体とXかYのどちらかの性染色体を1個持っています。受精時には合計して46の染色体を持つようになります。

母親(卵子)から、常染色体22+性染色体X1個
父親(精子)から、常染色体22+性染色体XまたはY1個
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               合計46個

性染色体がX+Xであれば女児が、X+Yであれば男児が誕生するのです。

染色体が次の世代の染色体をを作るときコピーミスが起こることがあります。

女児ができるX+Xの生殖であれば、コピーミスの起きた染色体は卵子のX、もしくは精子のX染色体で同士で壊れた部分を穴埋め出来るのだそうです。

問題はX+Yの男児が生まれるケースで、Y染色体の一部が欠損した状態で受精が行われると、欠損した一部を修復する事はないまま遺伝は継続されると言うものです。

欠損した部分はなくなってしまうので、だんだんと小さなY染色体となってしまい、その分小さくなっていくのでおよそ500万年でY染色体はなくなるだろう、と言うことでした。

Y染色体がなくなるとどうなるのか・・・
一言で言えば♂が生まれなくなる、ということですが、500万年という長い時間から考えれば、ヒトの生殖のあり方も現在とはずっと違うものになっているのではないかと思います。

今から心配するものではないと感じましたが、良くも悪くも人間とは進化(退化)の途中であることを実感しました。

ところで男性不妊ではテストステロンのほか、女性と同様にFSHやLH,プロラクチンなどのホルモンが関与してきます。
日常の疲れやストレスなどが精子の状態に反映しますので、鍼灸治療は良い効果があります。