No.705の記事

女性不妊治療用問診票について(まとめ)

3部に分けた問診票の解説ですが、問診時に気をつけるべき項目についても気が付いたところから書いてみました。

鍼灸院に来院される女性不妊患者さんのステージは様々です。

1)タイミングをはかってもなかなか妊娠しない。

2)薬などで排卵誘発をしているが、なかなか妊娠しない。

3)人工授精を行っているが、なかなか妊娠しない。

4)体外受精(顕微授精を含む)を行っているが、なかなか妊娠しない。

大きく分けると以上のステージか、それぞれの間で専門医の治療に一休みしている時期に来院されるパターンに分けられると思います。

それぞれのステージで鍼灸の効果は期待できますが、注意すべき点は、
1)クラミジア感染の既往の有無、
2)子宮卵管造影の結果、
3)子宮内膜症の有無

以上はともに、夫側の精液検査と共に専門医の検査が必須です。これに異常があれば自然妊娠することは簡単ではありません。特に患者さんの年齢を考慮して、一定期間の治療を行ったのち自然妊娠されない場合は、もう一度専門医による治療も必要でしょう。

ただこれらの原因が明らかでない場合は、たとえステップアップして体外受精(顕微授精を含む)まで進んでしまった方であっても、年齢やほかの条件にもよりますが自然妊娠を目指して鍼灸を行う価値は十分あると思います。

もちろん年単位での治療になる場合もありますが、少なくとも多くの症例ではBBTの改善や、冷えやPMS,月経痛などの症状が大きく改善し、もし鍼灸で自然妊娠されなくとも、再開して行うARTの成績はきっと良くなるだろうと思います。

最後に一言書かせて頂きます。
子宝に恵まれなくて、焦る、悲嘆に暮れているのはほとんどが女性です。きっと両親やご主人に対して申し訳ないと、そう思われているのでしょう。

一方ご主人の方では、精神的にも肉体的にも辛い検査や様々な治療を受けている妻を、『授かり物だから、そこまでしなくてもいいんじゃないか』と、たとえ言葉に出さなくとも考えていたわっている方がほとんどです。
痛いし熱いし、鍼灸だって本来は行わないで妊娠されることがベストなのです。

妻は夫に申し訳ないと思い、夫も妻のことはとても心配している・・・そのような間に入って診察や治療を行うのですから、謙虚で神聖な心構えで患者さんに向き合うことが大切だと思います。