福島県白河市の鍼灸院、日常の鍼灸治療の診療日記や、学会参加記、趣味の日記
妊娠も安定期の中期を過ぎ、30週を迎える頃、産科婦人科の検診時に『さかご=逆子(骨盤位)ですね』といわれる方も多いようです。
ほっておけば治る事も多いので、初めのうちはあまり気にとめる方もいらっしゃらないようです。
鍼灸治療では逆子の治療は大変効果がよく、それがために逆子の治療を希望して来院される方が大変多いようです。
しかし、そのほとんどが35週を過ぎ、出産をまじかに控えた方ばかりです。
35週を過ぎると、胎児は出産のために産道近づこうと降りてきます。そのためまだ狭い骨盤内にて胎動も少なくなり、自然に逆子が治る確率は非常に悪くなります。
自然分娩を求められ、逆子の治療を希望の場合はなるべく早くご来院ください。
逆子に関しての鍼灸の効果は、下記の根拠を掲げておきます。
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フランシスコ・ガルディーニ『骨盤位矯正に対する灸の効果』
JAMA(米国医師会雑誌)1998;280(18):1580-4
・左右の至陰(足にあるツボ)に、15分ずつ棒灸を行う。
・結果、胎動回数が増加(平均35.35回→48.45回に増加)
頭位回転数も増加(62/130→98/130)
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高橋佳代『骨盤位矯正における温灸刺激の効果について』
東京女子医大誌1995.5(10)801-7
・実験と結果
至陰穴に温灸後、胎動が有意に増加し、施灸後15分で減少してきた。超音波ドップラーにて、子宮動脈(UtA)、臍帯動脈(UmA)の血管抵抗を調べてみると、施灸後が有意に低下している。
・考察
灸による子宮循環抵抗の低下は、子宮筋のトーヌスの低下を起こし、子宮筋の弛緩は胎動を容易にさせた。
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この2つの報告から、鍼灸治療は子宮の血行を改善し、特に臍帯動脈と子宮動脈の血行を改善した。その結果、子宮の筋肉が柔らかくなり、胎動が容易になって増えた→逆子が治る機会が増えた、と言うことでしょう。
当院での逆子治療は、安全に治療を行えるよう、胎児の状態をドップラー心音計や超音波画像によって観察しながら行います。
治療は5回目までは通常通り有料とし、5回目以降は何度治療しても正常に戻るまでは無料といたします。
38週の予定帝王切開のための入院前日までに治療を行い、手術がキャンセルとなった例も多数ありますが、なるべく早期の治療をおすすめいたします。