福島県白河市の鍼灸院、日常の鍼灸治療の診療日記や、学会参加記、趣味の日記
今日は、鍼灸師会の中沢会長の代理で郡山の鍼灸専門学校の卒業式に出席してきました。
鍼灸師会副会長になって初めての、会長の代理での公式行事参加です。
初めてのお使い、、ということで元気にレッツゴー!
会場は郡山市文化会館。
国際メディカルテクノロジー専門学校だけでなく、たくさんの系列校の合同卒業式でした。
まずは来賓控室に案内されて、先生方教職員一同様の手厚いご挨拶がありました。
続いて式会場の緞帳の中へ案内されて着席。
この緞帳(カーテン)の向こうには卒業生900人以上と在校生数百人、、また卒業生のご父兄様が数百人と、ちょっと壮観な眺め。
(さすがにカーテンが上がってからは撮影できませんが)
医療系の3年制の卒業生は、3.11の震災後に入学され、入学式は5月に延期されたり、頻発する余震で授業が何度も中断したとか。
君が代斉唱で始まり、蛍の光斉唱でお開きになりました。
学校長の祝辞、来賓の祝辞、在校生の送辞、卒業生の答辞・・・。
自身の直近の卒業体験はもう30年近く前の鍼灸学校になります。
今週はもう一つ卒業式があります。
7日午前中だけ診療を新人君に任せ、娘の助産学校の卒業式に出席してきます。
文化センター近くの市立図書館前にある公園の除染実施後の放射線量を示す看板。
県内の公園などによく見るものですが、改めて震災直後の様子を思い出します。
先月開催した不妊鍼灸ネットワークでお話しさせていただいた内容を書いてみたいと思います。
その前に・・・
昨年12月は7名、先月1月は追加で3名が妊娠され合計で6名の方が妊娠されました。
2月は、無事に当院を卒業された方が二人いらっしゃいました。
うち1名は妊娠20週まで治療を行いました。
もう1名は12週で一応の終了としました。
特に高齢不妊患者さんの多い当院では、(予防できるの種類の)流産率の低減化、早産の予防は、妊娠率の向上と並んで永遠のテーマになっています。
本来であれば、元気な赤ちゃんを産んでいただくために20週まで続けたいところではありますが、12週で一応の一区切りとした患者さんは、特に遠方からの来院であったので、今後の通院にかかる疲労とトレス考えて、一応の卒業終了としました。
(患者さんご快諾のもと、エコーの映像を掲載させていただいています・当院では診断目的ではなく、安全で効果的な鍼灸を行えるよう、妊婦さんに対しては超音波やドップラー心音計を用いて観察をさせていただいています)
京都の研修でお話しした内容は、平成24年度中に初診で来院された患者さんの妊娠率・治療継続率・脱落率についてです。
24年中に不妊でいらっしゃった初診の女性患者は55名で、うち33名が体外授精などART(高度生殖医療)経験者でした。
上の表にはその33名の年齢と移植回数や採卵回数、転帰を表示しています。
妊娠については、治療開始後1年間の期間を設けて妊娠率を挙げてみました(胎嚢確認をもって妊娠とし、化学的流産は含んでおりません)。
体外授精などのART経験者では、約1年の間に半数以上の方が妊娠されています。
妊娠18名で55%、治療継続8名で24%、脱落された方が7名で21%でした。
なお、治療継続グループでは1年超となってもその後に妊娠される方が半数以上ありました。
24年初診のART経験者で妊娠された方については数からいえば20人に満たないくらいですので、患者さん個別の通院状況が思い出せます。
妊娠された患者さんについては、やはり十分な治療頻度(週に一回以上、または2週で3回以上)で通院されている方ばかりでした。
一方、通院頻度がまばらで、2週以上間隔が空くような方は治療10回未満くらいで脱落される方が目立ちました。。
このグループにも、治療さえ十分に受けられたら妊娠できたであろうかたもいらっしゃったはずで、たいへんもったいないように思います。
ずばり研修の目的はこの方たちを脱落させずに妊娠に導く、というものでした。
ART未経験群は、脱落率はART経験群より脱落率が少し多く、またグラフには表示していませんが脱落に至る期間も早期(多くは3回以内)という傾向がありましたが、母数が少ないため統計的な意義を見出すまでには至っておりません。
妊娠が12名で54%、治療継続が3名で14%、脱落が7名で32%となっています。
印象的には、ART群ではすでに凍結胚などを持っていて胚移植のためだけに鍼灸を行った場合よりも、採卵前から鍼灸を十分な頻度と回数で行っていた方に妊娠された方が多かったように思います。
一か月以上もブログをさぼってしまいました。
来年5月に郡山市で第64回全日本鍼灸学会を開催することになり、鍼灸師会の先生方とバタバタしております。
1月開催の不妊鍼灸ネットワーク研修会の続きを書いてみたいと思います。
<内容は下記リンク↓になります>
http://www.sanpei89in.com/kensyu/diary.cgi?no=17
研修会第一部、不妊鍼灸ネットワーク中村会長から、問診と診察の進め方、の模様。
不妊症には鍼灸が大変有効です。
当院のデータでも、自然妊娠から体外授精の採卵や胚移植に関するアシスト的な鍼灸の効果のデータもだいぶ揃ってきました。
しかしながら、鍼灸も効果を表すまでには一定の治療期間と治療回数があります。
せっかく通院を始めても治療に来なくなってしまう患者さんたち『脱落患者を減らし、一名でも多くの妊娠症例を増やすこと』がこの日のテーマでした。
治療に忙しくなると、患者さんへの説明もおろそかになりがちで、ここで患者さんの信用を無くさぬよう、また治療へのモチベーションを継続させるカギが、この日のテーマでした。
脱落患者さんを減らすため、また一名でも多くの方に妊娠していただきたいこと、として、アキュラ鍼灸院の徐院長からもお話しいただきました。
妊娠症例は軽く1000名を超える名古屋の明生鍼灸院副院長・木津先生からは、膨大なデータから通院期間と妊娠率の関係について、また脱落の起きやすい時期から、脱落の原因についてお話しいただきました。
私の方からは、当院の24年中の新患さんの妊娠率・脱落率のデータを出させていただきました(後の日記に書かせていただきます)。
研修の最後は会員の皆さんでグループディスカッション。
わが東北の先生方は、
麗明堂鍼灸院(山形県山形市)の五十嵐先生。
日鍼会臨床研修指導者講習会の同期(15期)でもあり、古くからの大親友でもあります。
ラプレ鍼灸院(岩手県北上市)の石川先生。
岩手県盛岡市からすぐ近くの北上市で開業している石川良子先生。
鍼灸師会などの主催の研修だけでなく、医療機器メーカーの主催の研修などでも私の講義を熱心に聴きに来てくれて、不妊症に関してはとても実力のある先生です。
キュアーズ長町(宮城県仙台市)の小松先生。
わが息子が鍼灸学生時代に、見学に行った先で暖かく迎えてくださった先生。
視覚障害がありながら、熱心にいつも勉強されています。
潮見治療院(宮城県気仙沼市)の阿部先生
東北鍼灸学会などでいつもお世話になり、『東北でも不妊症治療を一生懸命進めましょう』と、背中を押してくれた先輩鍼灸師の先生です。
以上にあげた先生ともども、遅れている東北の鍼灸による不妊症治療を進めていきたいと考えています。
研修の最後には記念撮影。
その後、ホテルの会場で懇親会。
京懐石をいただきながら、和やかな懇親会でした。
余興で中村会長がお得意のヴァイオリンでバッハの『主よ、人の望みの喜びよ』を演奏してくれました。
聖母マリアがイエス・キリストを身ごもった喜びの曲なんだとか。なるほど、不妊研究会にふさわしい曲なんだと思いました。
翌日は大阪・伊丹空港から一路福島へ。
相変わらずトンボ帰りの研修でした。
次回研修会は6月の名古屋開催になります。